1986 Fiscal Year Annual Research Report
フランス語の語彙構造と語義分析-辞書に現われない基本語の意味記述-
Project/Area Number |
61450062
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
鈴木 昭一郎 京大, 教養部, 教授 (00026741)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東郷 雄二 京都大学, 教養部, 助教授 (10135486)
三好 郁夫 京都大学, 教養部, 助教授 (60047165)
山本 淳一 京都大学, 教養部, 教授 (90026758)
山田 稔 京都大学, 教養部, 教授 (00026733)
大橋 保夫 京都大学, 教養部, 教授 (80026715)
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Keywords | 語彙論 / 基礎語彙 / 語義分析 |
Research Abstract |
本研究はフランス語の語彙のなかから限定された数の語彙項目(いわゆる基礎語彙に属する語彙項目)をえらび、それらの語義分析を通して、語彙記述のための意味モデルと、語彙の構造的記述の可能性を探ろうとするものである。61年度は本研究計画の初年度であり、主として本研究の目標達成のための理論的・技術的問題の検討を行なった。 理論的問題のひとつは、ある言語の基礎語彙とは何かという点である。フランス語については、国立科学研究院の作成した頻度辞書(Dictionnaire des fre´quences)等の、コンピュータを用いて単語の出現頻度を調査した資料がある。これらの資料は基礎語彙の画定の参考資料とはなっても、頻度イコール基礎語彙という単純な等式は成りたたない。これとは別に、本研究は大学の教養課程での外国語教育における語彙の教育方法を探るという実際的側面をもっている。教育的観点からの基礎語彙は、単純な出現頻度とはおのずと異なり、ちがった観点からの配慮が必要である。 一方、語彙の意味記述については、語彙項目自体の意味モデルと、句や文の連辞における結合関係のモデルの両方が必要であり、最終的には語彙項目のひとつひとつに書きこまれる情報として、このふたつが総合されたかたちで存在することが望ましいということが確認された。これは課彙レベルの統辞論、統辞レベルの語彙論という観点を導入して分析を行うことが必要であるということを意味する。今後の問題は、このような語彙の構造的記述のために最適のモデルはどのようなものであるかを探ることにある。
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