1986 Fiscal Year Annual Research Report
資産課税の貯蓄および所得分配に与える効果の経済分析
Project/Area Number |
61450080
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石川 経夫 東大, 経済学部, 助教授 (90107483)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
貝塚 啓明 東京大学, 経済学部, 教授 (10028037)
宮島 洋 東京大学, 経済学部, 教授 (00020537)
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Keywords | 家計貯蓄 / 資産税制 / 金融税制 / 高齢化社会 / 日本 / 所得分配 |
Research Abstract |
本年度、総務庁統計局より許可を得て利用可能となった『貯蓄動向調査報告』の6ケ年にわたる個表データを研究代表者が整理、再集計する作業と、それにもとづいて日本の家計貯蓄行動にかんする実証研究を行なった。また、研究分担者は、それぞれ日本の資産課税の実態にかんするサーヴエイを行なうとともに、研究代表者の再集計データと他の統計調査(税務調査、厚生省調査、など)のデータとの突き合わせを行なった。以下、家計の貯蓄行動にかんしてわれわれが新しく見い出した結果を要約しょう。 1.第1次オイル・ショック以前と最近時(1980-1984年)の家計データを比較することを通して、家計貯蓄率に影響を与える所得成長率・物価上昇率、そしてそれ以外の構造的要因の効果を調べた結果、目標金融資産・所得比率の上昇という形で家計行動に変化の生じていることを確認し、これが低所得成長下での高貯蓄率の説明を与えるものであることを見出した。 2.高令者の貯蓄行動と就業行動の相関がきわめて重要と考えられること。とくに、高令者就業家計では、勤労者・自営を問わず、また所得階層の如何にかかわらず高い貯蓄率を達成していることが知られた。高令者のいまなお高い就業率が日本の高家計貯蓄にかかわること、その背景を研究することが次の課題として設定された。 3.いわゆる貯蓄優選資産税制は、家計貯蓄率にほとんど影響し与えていないことが見出された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 石川経夫,堀内,黒田編: "『日本経済のマクロ分析』「日本の家計貯蓄の構造要因と金融税制」" 東大出版会, 350 (1987)
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[Publications] 宮島洋: "『租税論の展開と日本の税制』" 日本評論社, 348 (1986)