1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61450089
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
白沢 政和 阪市大, 生活科学部, 講師 (20094477)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山縣 文治 大阪市立大学, 生活科学部, 助手 (10159204)
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Keywords | 男性一人暮らし / 高齢者 / 家事能力 / 事例 |
Research Abstract |
男性一人ぐらし高齢者の家事能力を、本年度は事例を介して検討し、家事能力を規定する要因を探りだしてきた。 事例研究については、19ケースについて詳細に検討してきた。19ケースのうらで、8ケースについては、十分な家事能力を有しているものであり、11ケースは、ほとんど家事能力を有していないものである。後者については、行政が提供している家庭奉仕員が派遣されていた。 事例の検討から、家事能力の内容につては、食事の準備・後かたづけ、洗たく、買物、掃除、整理、が中心であった。これら以外の付随的なものとしては戸締り、給油なども家事の一部に含めることができる。こうした能力が11ケースについては極めて低く、8ケースは十分に遂行ができている。こうした能力を規定している要因としては、次のようなものが抽出されてきた。(1)本人の年齢、(2)本人の健康状態、(3)本人の障害の有無、(4)内向性や外向性といったパーソナリティ、(5)生育歴、(6)自己管理の責任といったものに対する価値観や人生観、(7)生きがいを求める人生観、(8)戦争体験、(9)仕事体験、(10)幼児期での母親との関係、(11)幼児期での食文化(家族全体の)、(12)妻との関係、(13)家事に対する教育経験、(14)家事に関する情報へのアクセス、(15)人間関係の広さ、である。こうした要因が家事遂行でのプラス面となったり、マイナス面となっていた。 さらに、家事能力の劣っていた11ケースについて、家事を助ける社会資源としては、家庭奉仕員以外に、ほとんど利用されていなかった。例えば11ケース中7ケースには子どもがいたが、全く接触がみられなかった。また、友人、近隣、ボランティアについても、全く関与していなかった。逆に、家事能力を有している8ケースについては、様々な社会資源が家事を助けていた。」
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