1986 Fiscal Year Annual Research Report
対馬海流域の生態地理学的研究-青潮文化の総合地域調査-
Project/Area Number |
61450091
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
市川 健夫 東京学芸大, 教育学部, 教授 (60014825)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白坂 蕃 東京学芸大学, 教育学部, 助教授 (40014790)
小泉 武栄 東京学芸大学, 教育学部, 助教授 (30114812)
山下 脩二 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (80064731)
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Keywords | 対馬海流域 / 青潮(あおしお)文化 / 牧畑 / 隠岐 / 対馬 / 佐渡 |
Research Abstract |
昭和61年度の調査を通じて、下記のような事実を明かにすることができた。 1)牧畑の分布と畜産 牧畑は畑地と牧地との輪換利用であるが、これに森林利用を含めた広義の牧畑は、対馬海流域における土地利用の特色と考えられる。その分布は、種子島、済州島、対馬、隠岐、粟島など馬産地帯にみられる。冬でも放牧できる地域に牧畑が成立していた。牧畑における畑作は焼き畑であったため、ソバの栽培と食文化が発達していた。 2)南島、東アジア、日本本土からの文化伝播 沖縄からの追い込み漁、石焼き料理(ストーンボイリング)、ワニ(サメの意)伝説とその料理は南島文化である。また釜炊り茶、在来馬や在来牛は中国大陸や朝鮮半島からの文化である。さらに素もぐり漁や一本釣りは日本本土から伝播した文化である。このような文化が複合して成立したのが青潮文化である。 3)地域経済の複合性 五島列島や対馬、隠岐などの地域経済をみると、半農半漁といわれる農家と漁家を兼ねた世帯が多い。これに加えて、畜産、林業、製炭、賃労働、自営業などを組み合せた生業構造をもっている。これは青潮文化は山(岡)と森と海を基盤とした文化であることがわかる。主食はかつて麦飯、さつまいもいわしなどが充てられていた。 4)植生の変化および漁業 隠岐・対馬など照葉樹林帯の中にモミ、ミズナラなどの落葉広葉樹林帯の要素が分布している。これは氷期のレリックと考えられる。また対馬海流域では冬期間シケルので、住民は風に対する関心が極めて高い。漁民は特に海流と風に独特の考えを持っている。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 市川健夫: 日本地理学会予稿集. 31. 186-187 (1987)
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[Publications] 山下脩二: 日本地理学会予稿集. 31. 192-193 (1987)
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[Publications] 小泉武栄: 日本地理学会予稿集. 31. 190-191 (1987)
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[Publications] 白坂蕃: 日本地理学会予稿集. 31. 188-189 (1987)