1986 Fiscal Year Annual Research Report
非晶質金属における高温,高磁場での超伝導ゆらぎ現象と電気伝導
Project/Area Number |
61460026
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
豊田 直樹 東北大, 金属材料研究所, 助教授 (50124607)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前川 禎通 東北大学, 金属材料研究所, 助教授 (60005973)
井上 明久 東北大学, 金属材料研究所, 助教授 (10108566)
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Keywords | 超伝導 / ゆらぎ超伝導 / 非晶質合金超伝導 / アンダーソン弱局在 / 負の磁気抵抗 / 2準位系 |
Research Abstract |
結晶格子を組まない非晶質合金は、その低温での電子物性に興味ある数多くの量子現象を示す。その中で重要な研究テーマのひとつが、筆者らが初めて観測した「非晶質合金超伝導体の超伝導ゆらぎ現象の発現と、電気抵抗の対数的温度依存性の物理的機構」に関するものである。本研究は、これらの現象を30Tに及び定常強磁場下で又1K以下0.4Kに到る低温域で調べる事を目的に開始した。以下に本年度における実績の概要を示す。 1.非晶質合金としてNb-Ge系の膜試料を作製した。方法は、窒素温度域に冷却されたサファイア基板上に直流スパッタで蒸着した。厚さは、上記目的のため2000A°〜50A°である。しかし、全ての試料は1Kまで超伝導を示さなかった。この原因として、ターゲットとステンレスカバーがプラズマ発生中接触し、ステンレス(Fe,Cr,Ni)が部分的にスパッタされ膜を汚染した事をつきとめた。装置を改良を終り、現在均質な非晶質を得るべく準備中である。 2.非晶質Be膜の低温、強磁場での系統的な測定を終了した。この試料はNTTにおいて作られたものである。Beは大変軽い原子であり、そのためスピン軌道相互作用が大変弱く、上記の目的のためには、モデルシステムとなるものと予想された。結果は、アンダーソン弱局在効果と超伝導ゆらぎ現象が顕著にみられる大変明瞭なデータが得られた。このデータは、恐らくアンダーソン弱局在とゆらぎを系統的に理解できる事を示している。現在、種々の側面からの解析を試みている段階である。近日中に、論文発表の予定である。
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