1986 Fiscal Year Annual Research Report
合金準結晶の探索,作成とその構造および物性に関する研究
Project/Area Number |
61460029
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
竹内 伸 東大, 物性研究所, 教授 (60013512)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 邦夫 東京大学, 物性研究所, 助手 (50107439)
木村 薫 東京大学, 物性研究所, 助手 (30169924)
安岡 弘志 東京大学, 物性研究所, 教授 (50026027)
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Keywords | 準結晶 / 超急冷法 / ペンローズ格子 / 電子線回折 / Al合金 / 電気抵抗 / 局在電子 |
Research Abstract |
1.超急冷装置: ロール径25cm、回転数最高1万rpmの単ロール雰囲気超急冷装置を完成し、急冷による準結晶作成法を確立した。 2.単相準結晶の作成: 2元系ではAl-Mn、3元系ではAl-Mn-Si、4元系ではAl-Mn-Ru-Si系について、それぞれ単相の20面体準結晶相が得られる組成範囲を明らかにした。X線回析ピークは多元系になるほどシャープになり、結晶化温度も上昇し、より欠陥の少い安定な準結晶が得られることが明らかになった。この事実は、準結晶の構造モデルである3次元ペンローズ格子に見られるサイトの多様性から理解できる。 3.Al-MnT相の構造:【Al_4】Mnについて急冷速度が遅い場合にほゞ単相のいわゆるT相が得られた。詳細な電子線回折および粉末X線回折実験の結果、T相は2次元的なペンローズ格子が周期的に積層した構造であることが確認され、構造モデルを提案した。 4.電気的磁気的性質:Al-Mn2、3、4元系の電気抵抗の特徴は、(a)800〜1000μΩcmの高い比抵抗、(b)室温から30K附近まで小さな負の温度係数、(c)30K以下での急激な抵抗上昇(-logTまたは【T^(-a)】に従う)、(d)この温度域での正、負の磁気抵抗効果の競合、である。それに対し、Al-V-Si系の電気抵抗は室温-1.Kまで殆んど温度依存性が少ない。帯磁率の測定結果から、Mn原子が磁気モーメントを持つのに対しV原子は持たないことが明らかになった。Al-Mn系の高い比抵抗と低温の抵抗上昇は、局在磁気モーメントと準周期構造の相乗効果で生じた、電子のより強い局在化の結果として解釈される。なお、生産研井野研究室との共同研究による、MnをFeで置換した試料に関するメスバウア・スペクトルの測定結果および帯磁率の結果は、Mnサイトに2種類(モーメントの有無)あることを示唆している。
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[Publications] 安岡弘志: J.Phys.Soc.Jpn.55. 1058-1061 (1986)
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[Publications] 木村薫: J.Phys.Soc.Jpn.55. 1810-1813 (1986)
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[Publications] 鈴木邦夫: J.Electron Microscopy(Suppl.). 35. 1529-1530 (1986)
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[Publications] 竹内伸: J.Phys.Soc.Jpn.36. N .5 (1987)