1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61460047
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
木村 竜治 東大, 海洋研究所, 助教授 (20013576)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新野 宏 気象研究所, 物理気象部, 研究官 (90272525)
中村 晃三 東京大学海洋研究所, 海洋気象部門, 助手 (20143547)
浅井 冨雄 東京大学海洋研究所, 海洋気象部門, 教授 (80025288)
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Keywords | モンスーン / 寒気団 / シベリア高気圧 / 北西季節風 / 温帯低気圧 |
Research Abstract |
モンスーン循環のメカニズムは冬と夏で異なる。冬期は高緯度の地表面で寒気が形成され、中緯度の広い範囲に流出する。夏期は、チベット高原及びヒマラヤ山塊付近が熱原となって、そこを中心に下層で収束,対流圏上層で発散するモンスーン循環が生じる。初年度は、冬期及び夏期のモンスーン循環を再現する実験装置の作製に重点を置いた。 直径80cm,高さ10cmの円筒形水槽が実験容器である。下面の中心部の直径20cmの円形領域だけ、厚さ0.1mmのステンレス板を使用し、下面に恒温水を循環させて、底面の温度を一定に保つ。半径35cmから40cmの円環部分は下面に恒温水を循環させて一定に保つ。半径10cmから35cmの領域は底面を断熱として、断熱材の上面を裏面にコリステリック液晶を塗付した透明シートでおおい、作業流体(水)の底面の温度分布を可視化できるようにした。容器全体は回転台の上に固定され、1rad/sまでの角速度で鉛直軸のまわりを回転できるようにしてある。この装置で、中心部を冷却,周辺部を加熱すれば冬のモンスーン循環が、中心部を加熱,周辺部を冷却すれば夏のモンスーン循環が再現できることになる。 本年度は冬のモンスーン循環に関する実験を行った。シベリアで形成された寒気団が中緯度に流出してくる過程に対応している。地球の自転効果がない場合は、下層で四方に流出,上層で流入する軸対称的な循環が生じる。地球の自転効果が加わると、流出と直角方向の風速成分が形成される。これは、寒気層の上部で抵気圧性の循環になる。この循環は、回転速度が大きくなると不安定になり、渦巻きが形成される。この渦巻きの性質は大気中の温帯低気圧とよく似ている。冬の季節風が温帯低気圧の発生をもたらす可能性が示唆されたわけで、このメカニズムを次年度でさらに定量的に調べる予定である。
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Research Products
(1 results)