1986 Fiscal Year Annual Research Report
人工擾乱に対する電離圏・磁気圏プラズマの非線形応答の計算機シミュレーション研究
Project/Area Number |
61460049
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松本 紘 京大, 国立大学(その他), 助教授 (00026139)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大村 善治 京都大学, 工学部, 助手 (50177002)
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Keywords | 電子ビーム / ビーム伝搬速度 / 粒子コード / 計算機シミュレーション / 計算機実験 / 粒子加速 / 電気二重層 / 電気三重層 / スペース・シャトル / ロケット実験 |
Research Abstract |
スペース・シャトルによる電子ビーム放出実験に伴う数々のプラズマ非線形応答を調べるために、粒子コードによる計算機シミュレーションを計画通り実行した。 スペース・プラズマ中へ強制注入された両端を持った有限長の電子ビームがプラズマ中をどのように伝搬するかを、ビームの相対密度,ビームの初速度と熱速度の比,ビームの電荷中性条件を変え、計算機実験により調べた。 電荷中性を保った電子ビームでもプラズマ中を進行する際、その先端、後端において電気的中性を破るため、その両端において最初電気二重層、後には電気三重層が生成される事が見い出され、その物理機構も明らかにされた。 電気二重層は過渡的に現われるが決して安定でなく、電気的三重層が準安定であり、その中で反射されるビーム電子と流れ込む背景電子とがそれを維持する原因であることが明らかにされた。ビーム先端に生成される電気三重層のため、ビームは初期速度で進行できず、初期速度よりもずっと遅い速度で伝搬することが本計算機実験で明確に示された。ビームの減速程度とビームの相対密度の関係、同じくビームの初速度との関係を定量的に示した。 また同時に本研究で明らかにされたことは、過去の宇宙実験で互に矛循するビーム速度に関する実験結果もうまく説明されることを示した。 即ちARAKS実験と呼ばれるロケット実験ではビームが著しく減速されたのに対し、エコー実験と呼ばれるロケット実験では殆んど減速なくビームが伝搬すると主張されていた。本研究の結果上記の減速ビームに加え、一部のビーム電子はビーム先端の電気三重層ポテンシャルを超え初期速度で走るフォアランナー電子も現われる事が明らかにされたからである。また電荷中性を破る有限長電子ビームはその中心にイオンを引き付け、過渡的に電子を大きく加速することも確認できた。 これらの計算機実験の結果は16mm映画にされた。
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Research Products
(2 results)