1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61460054
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Research Institution | Tsuru University |
Principal Investigator |
上杉 陽 都留文大, 文学部, 教授 (10110850)
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Keywords | 大磯丘陵 / 第四紀 / 火山灰層序学 / 国府津・松田断層 / フィリッピン海プレート / 関東大地震 / 活断層 / 中期更新世 |
Research Abstract |
1.丘陵北西部・秦野盆地・北東部・南東部の5000分の1地質図ほぼ完成、全域の25000分の1暫定地質図ほぼ完成。実績はこのとうりであるが、いくつか興味ある結果ないしは疑問点が得られたので以下記載する。 2(1)本丘陵は100〜90万年前以降一貫して、概略NNW〜SSEの水平圧縮応力場に置かれ、ほぼ南北に短縮してきた。N45°Wより西向きではない。 (2)本丘陵南東部鷹取山山地と南東端高麗山山地を構成する先中部更新統は同一層準であっても岩相が違いすぎる。両者の間の生沢構成谷は現在巾500m〜1500mで変動帯となっている。後者は本来もっと南方にあった可能性が周辺地域の地質構造の総合的判断としてありうる。 (3)フィリッピン海プレートの北東側境界断層にあたるとされた国府津・松田断層は32万年前あたりから地表に影響を与えるようになった新しい断層で約50万年前あたりから地表に影響を与えだした生沢構造谷より"新顔"である。古地理図(水陸境界図)を書いてみても、関東大地震の測地学的データと本丘陵の基盤ブロックの隆起傾向とを比較しても、全体として"生沢変動"と"国府津松田変動"は、対等の影響力をもっている。古い時代は前者の変動のみで、新しい時代になると後者の変動も目立つようになる。国府津・松田変動による本丘陵構造発達史の一元的説明は困難であり、従って地表地質研究者としては、同断層がプレート境界断層だとする説には賛同しえない。新しすぎるのではないか? (4)本丘陵が、時計廻りに50°以上も回転したとする古地磁気学的データ〔小山(1986)〕は層序学的に証拠不充分で、むしろ、同断層の右横すべりの激しさの証拠となるものである。 (5)本丘陵が箱根父山に対して、最近50万年間に数km南進したとする仮説については充分な証拠が得られない。
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[Publications] 伊藤谷生: 月刊「地球」. 10. 630-637 (1986)
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[Publications] 上杉陽: 関東の四紀. 12. 11-20 (1986)
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[Publications] 大磯団体研究グループ、上杉陽: 関東の四紀. 12. 3-10 (1986)
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[Publications] 上杉陽: 構造地質. 32. (1987)
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[Publications] Tamio ITO: Techtonophysics.
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[Publications] 関東第四紀研究会,上杉陽: 関東の四紀. 13. (1987)
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[Publications] 関東第四紀研究会,上杉陽: "日本の地質3「関東地方」" 共立出版, 335 (1987)