1986 Fiscal Year Annual Research Report
分子層エピタキシャル法による単結晶サフィイア薄膜の集積回路素子応用への基礎的研究
Project/Area Number |
61460121
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大矢 銀一郎 東北大, 電気通信研究所, 助教授 (00006280)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 康治 東北大学, 電気通信研究所, 助手 (60125622)
沢田 康次 東北大学, 電気通信研究所, 教授 (80028133)
|
Keywords | 分子層エピタキシー / サファイア薄膜 / 化学吸着 / ジョセフソン接合素子 / ラングミュア吸着式 / 集積回路 |
Research Abstract |
本研究は、優れた絶縁性を有する単結晶サファイア(α-【Al_2】【O_3】)薄膜を集積回路素子へ応用することを目的とする。その基礎研究として、分子層エピタキシャル法を用いてその薄膜成長を行ない、次の成果を得た。 1. 本方法では、原料として塩化アルミニウム(Al【Cl_3】)蒸気とヘリウムで希釈した酸素を用いており、これらを真空槽内の単結晶サファイア基板上に交互に吹きかけることで、世界で初めて単結晶サファイア薄膜のエピタキシャル成長に成功した。このときの基板温度は600℃以上である。 2. 基板に塩化アルミニウム蒸気を吹きかけた後、酸素を吹きかける工程を単位工程とすると、単位工程当りの成長膜厚は、真空槽に導入される塩化アルミニウム蒸気の圧力と共に増大するが、〜5×【10^(-3)】Pa以上ではほぼ一定となることが見い出された。このときの成膜速度は〜0.09nm/cycleである。そして、得られた薄膜の全膜厚は工程数にほぼ比例して増大する。従って、この薄膜成長はディジタル的であり、原料ガス分子の基板へのラングミュア型(単分子)吸着が支配的であると推定される。ただし、この場合のヘリウム・酸素混合ガスの導入圧力は8×【10^(-3)】Pa一定とした。 3. 4重極型質量分析計を用いて薄膜製作時の真空槽内のガス分析を行なった結果、塩化アルミニウムは基板上でAlCl分子となって化学吸着すること、そして、このため、塩化アルミニウムと酸素との単分子吸着層毎の反応が実現されていること等が初めて解明された。 4. 本方法により、超伝導体ニオブ単結晶薄膜上にも単結晶サファイア薄膜のエピタキシャル成長の可能であることが初めて確認された。この結果は、単結晶サファイア薄膜を超伝導ジョセフソン接合素子ならびに種々の集積回路素子へ応用するための大きな成果である。
|
Research Products
(8 results)
-
[Publications] 野口正一: Japanese Journal of Applied Physics. 25. 914-915 (1986)
-
[Publications] 大矢銀一郎: Journal of Applied Physics. 60. 1440-1446 (1986)
-
[Publications] 大矢銀一郎: Superconducting Materials(Proceedings of Symposium S 1986 Fall Meeting of the Materials Research Society). 56-58 (1986)
-
[Publications] 大矢銀一郎: 第23回東北大学電気通信研究所シンポジウム論文集. 23. 125-138 (1987)
-
[Publications] 吉田宗博: 東北大学電通談話会記録. 55. (1987)
-
[Publications] 大矢銀一郎: 電子通信学会技術研究報告. (1987)
-
[Publications] 中島康治,難波進編: "極微構造エレクトロニクス" オーム社, 522 (1986)
-
[Publications] 大矢銀一郎,原宏編: "Superconductivity Electronics" オーム社, 292 (1987)