1986 Fiscal Year Annual Research Report
沖縄における伝統的民家と戦後のRC造住宅との居住環境に関する研究
Project/Area Number |
61460188
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
山田 水城 法政大, 工学部, 教授 (40061030)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古川 修文 法政大学, 工学部, 助手 (10120833)
出口 清孝 鹿児島大学, 工学部, 助教授
後藤 剛史 法政大学, 工学部, 教授 (80112978)
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Keywords | 沖縄民家 / 屋敷囲い / 敷地内風速分布 / 民家の空間構成 / 風洞実験 / 温熱環境 / 熱貫流率 / RC造瓦葺住宅 |
Research Abstract |
当初予定の沖縄諸島久米島、渡名喜島の2島に加えて、それらと気象条件の異なる先島諸島の竹富、与那国を選び、以上4島における伝統的木造住宅と戦後のRC造住宅の空間構成及び温熱、風環境を夏期、冬期について実測した。開放的な木造住宅は防風のため樹木や石垣による屋敷囲いが不可欠であり、それによって屋敷内の風を測候所観測の風速値の20〜50%以下に減衰させていることがわかった。一方、厚い葺土を用いた瓦屋根は約100kg/【m^2】の重量を持って風に対する家屋の浮き上がりや倒壊をおさえているが、家屋の構造から計算すると風速30m/sが限界であり、それ以上の風では家屋の安全性が失われる。屡々瞬間風速60m/s以上にもなる強風地域にあって、このような家屋が成り立っているのは屋敷囲いによる効果であって、これによって敷地内の風を安全限界値まで低減させていると思われる。 一方、温熱環境について言えば赤瓦の屋根は断熱効果が極めて大きく、夏期の日射を遮るのに有効である。木造家屋の昼間室内気温はRC造に比べて約1.5〜2℃も低く、且つ、日没と共に外気温に追従して下がって行くが、RC造陸屋根の場合は屋根スラブの蓄熱量が大きく、日没後も長時間に亘って放熱が続き、室内気温は下がらない。これは開口部の影響も大きいようである。しかし、瓦葺きの勾配屋根を持つRC造の場合は相当改善されて、木造住宅の温熱環境に近くなる。このように夏期は開放的木造住宅の方が快適であるが、冬期の場合はコンクリートの蓄熱効果が有利に働いてRC造住宅の温熱環境に優れた部分が見い出される。今日耐風的理由からRC造住宅が増加しているが、夏期の温熱環境に改善すべき点が多く、樹木による屋敷囲いとの関係、庇と日射との関係、開口部の比率及びその形態、屋根材と構法及び断熱効果などについて解決しなければならない。沖縄の伝統的風俗習慣、町並みの景観との融合も解決すべき問題である。
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