1986 Fiscal Year Annual Research Report
弾性波CTによる岩石の破壊面形成過程のリアル・タイム観察
Project/Area Number |
61460193
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
寺田 孚 京大, 工学部, 教授 (40025862)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳谷 俊 京都大学, 工学部, 助手 (00259128)
松本 義雄 京都大学, 工学部, 助手 (00026022)
斎藤 敏明 京都大学, 工学部, 講師 (90056151)
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Keywords | 弾性波CT / 岩石の異方性 / P波速度とマイクロクラック / ダイラタンシーの局所化 |
Research Abstract |
本研究は、弾性波CTによって圧縮試験下における岩石試料内のマイクロクラックの発生、伸長および集積する過程、すなわちダイラタンシーの局所化をリアルタイムで観測し、これらのプロセスをコントロールする要因が何であるかを実験的に調べることを究極の目的としている。 実験には、直径80mm、高さ200mmの正32角柱で、端面の平行度±0.005mm以内に整形、乾燥した大島花崗岩試料を用いた。P波の送受兼用PZT圧電振動子を試料の各側面中央に32個接着し、スキャン断面とした。なお試料はスキャン断面が異方性の最もよわい面になるように調製されたが、P波速度分布の再構成にあたって異方性の補正が必要であった。しかし、無荷重時の速度に対する速度比の分布の再構成では異方性の補正は不必要であった。1個の送波振動子から扇形に前方15個の受波振動子に至る15パスを測定することにしたので、測定パスは総数240となり、スイッチング・アレーによって切替えて測定を行った。また、受信波形のSN比を向上させるため1本の測定パスにつき256回のアベレージングを行った。したがって、240本の測定パス全部のスキャンに約3.5分かかった。 圧縮試験は1.4×【10^(-8)】/Sのひずみ速度一定で載荷し、スキャンは圧縮応力183MPaまでは1時間毎に、それ以後は10分毎に行い、189MPaに達したとき試験を終了した。P波の速度および速度比の分布の再構成結果では、強度の70%までは応力の増大とともに速度分布が均一に変化し、80%以上でダイラタンシーの局所化が推察される速度分布異常が徐々に現われ始め、破壊直前で最も顕著となった。これらの結果は、同時に観測された表面ひずみマッピングや、染色探傷剤による試験後のクラック密集状況観測結果とよく一致している。よって、弾性波CT法が岩石の破壊面形成過程を観測するために十分精度を有していることがわかった。
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[Publications] 柳谷俊 他: 土木学会論文集【III】. 第370号. 159-168 (1986)
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[Publications] 柳谷俊 他: 土木学会論文集【III】. 第370号. 169-177 (1986)
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[Publications] 柳谷俊 他: 土木学会論文集【III】. 第382号. (1987)
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[Publications] 柳谷俊 他: 土木学会論文集【III】. 第382号. (1987)