1986 Fiscal Year Annual Research Report
医用セラミック被覆ステンレス鋼の0.9%NaCl溶液中の腐食疲労
Project/Area Number |
61460204
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
布村 成具 東京工大, 精密工学研究所, 教授 (60016764)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 襄 東京工業大学, 精密工学研究所, 助手 (60016772)
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Keywords | 人工関節 / 生体親和性 / 腐食疲労 / セラミック被覆 / 応力同期電流 / 加速試験 |
Research Abstract |
当初の研究計画に従い旧設備を使用して短時間試験により316Lおよび2相ステンレス鋼の短時間側S-N曲線(被覆材、0.9%NaCl腐食環境)を作成した。この範囲では2相ステンレス鋼は資料より予想されたごとく316L鋼より優れている。しかし犬の大腿骨にセラミック被覆したくさび型の試片を埋め込み、一定期間後解剖して取り出し引き抜き荷重を求める、動物実験を行ったところ(医学部との共同実験)、2相ステンレス鋼の生体親和性は有意に劣っていた。このため以後の2相ステンレス鋼の検討を取り止めた。2相ステンレス鋼の結果は溶出金属イオンによるものと考え原子吸光分析によって検討を規格し分析試料調整法について検討中である。対策としてTi合金が考えられているが、代表的Ti合金であるTi-6Al-4Vは関節摩耗粉としてVが不安であるため代替候補合金はなお選定中である。61年度後半に納入された腐食疲労試験機を用いて、腐食電流付加による加速腐食疲労試験を実現するための基礎資料となる腐食疲労時の外部電流挙動と耐食性皮膜の損傷の関連について検討した。在来の外部電流の計測では、疲労(応力の繰り返し)に無関係なものも大きく含み解析の精度が劣る。一定電位を付加し、得られた外部電流をFFTアナライザーにより周波数領域に変換し、これより繰り返し応力と同じ周波数成分を分離し、これを疲労に関連する電流成分として、疲労寿命および微視組織との関係を調べた。海水中での腐食疲労の資料が豊富な60Kg級高張力鋼の試験片を用い、人工海水中で腐食疲労試験を行い外部電流の解析を行った。腐食電流量の少ない全面腐食域で応力同期電流振幅と腐食疲労寿命はよく対応した。また主き裂伝播に伴うポンピングによる応力同期電流振幅によって、主き裂伝播が検出できた。応力同期電流振幅の腐食疲労進行中の変化はマイクロクラックの発生などの疲労損傷の累積に対応すると考えられた。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] X.J.Gao: Progress in Acoustic Emission. 3. 263-269 (1986)
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[Publications] S.Kumai: Progress in Acoustic Emission. 3. 502-507 (1986)
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[Publications] Y.Hijo: Progress in Acoustic Emission. 3. 685-691 (1986)
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[Publications] 布村成具: 工業材料. 33巻10号. 26-31 (1985)
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[Publications] 富田泰次: 臨床整形外科. 21. 1337-1345 (1986)
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[Publications] 布村成具: 耐火物. 47. (1987)
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[Publications] 布村成具,斉藤進六 編: "人工関節について(セラミックデータブック)" 工業製品技術協会, 6(471) (1986)
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[Publications] 布村成具,妹尾学 編: "セラミックス系-金属系複合材料(最新医用材料開発使覧)" (649) (1986)