1986 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子発現調節機能としての核酸高次構造の詳細な解明
Project/Area Number |
61460224
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤井 敏 阪大, 薬学部, 助教授 (10107104)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
箱嶋 敏雄 大阪大学, 薬学部, 助手 (00164773)
山縣 ゆり子 大阪大学, 薬学部, 助手 (40183678)
冨田 研一 大阪大学, 薬学部, 教授 (30028831)
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Keywords | 核酸のコンフォメーション / X線構造解析 / 円二色性 / 塩基配列特異性 / 抗生物質の作用メカニズム |
Research Abstract |
1.DNAオリゴマーの化学合成:遺伝子発現調節に係わり、B型構造とは違った高次構造をとる可能性が示唆されている塩基配列を含む次の4つを化学合成した。d(CGCAAAAAAGCG):d(CGCTTTTTTGCG)-DODE1,d(AAAAAACGCGCG):d(CGCGCGTTTTTT)-DODE2,d【(ICICIC)_2】-HEX1,d【(CICICI)_2】-HEX2。2.溶液学的実験:各オリゴマーの2重らせん構造とランダム構造との遷移温度(Tm)をUVによって測定した。DODE1,2は他の類似オリゴマーと同様な結果となったが、HEX1,2ではTmは2〜3℃と低く、塩基対ICの構造不安定化が考えられる。高次構造を知る目的で円二色性の測定を、温度・塩濃度変化を併用して行った。いずれも通常のB型構造が保持されていることが判明した。3.結晶化及びX線構造解析:DODE1についてはX線構造解析が可能な結晶が得られた。結晶学的データより先に明らかにされているd【(CGCGAATTCGCG)_2】と同形結晶であることが判明し、B型類似の高次構造であると考えられ、又この解析は重原子同形誘導体の作製を必要とせずに行えることが分った。現在解析データを超強力自動4軸型回折計を用いて集録している。HEX1についても抗生物質ネトロプシンとの共存によって結晶が得られた。結晶学的データによれば新規な格子構造であり、単位格子中に多くの核酸分子が存在しているので、重原子同形置換法による解析を進める予定である。これは低分解能の回折しか与えていないので結晶化の条件を検討している。4.分子モデルシステム:核酸の高次構造研究に不可欠なグラフィクスを中心としたシステム(コンフォメーションエネルギー計算,構造パラメーターの計算,図形表示)の作製を行った。これを用いて新規な左巻き2重らせん構造モデルを作成した。
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[Publications] Yoneda Shigetaka: Biophys.Chem.23. 91-104 (1986)
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[Publications] Fujii Satoshi: Advances in Pharmaceutical Sciences. 2. 80-92 (1986)
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[Publications] Aragishi Atsushi: Nucleic Acids Research. S17. 227-230 (1986)