1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61460248
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
美宅 成樹 東京農工大学, 工学部, 助教授 (10107542)
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Keywords | 生体膜 / 膜タンパク質 / タンパク質立体構造 / 立体構造予測 / 変性 / 疎水性相互作用 / 水素結合 |
Research Abstract |
膜タンパク質は多くの重要な生体機能を担っている. したがって, 膜タンパク質の立体構造の形成機構が明らかになれば, 生体機能の改善にもつながる大きな応用が開けるはずである.そこで, 本研究では豊富な一次構造についてのデータベースを用いて, 膜タンパク質の立体構造を理論的に予測するアルゴリズムを確立する. そしてさらに, それを補強するためのアルコール変性実験をバクテリオロドプシンに対して行なうことを目的としている. 一般に膜タンパク質(内在性膜タンパク質)の構造は, 周囲の環境から強く制限を受けているため, すべて膜を横切る数本のヘリックスの束を基本とした構造となっている. しかも, ヘリックスを膜中に安定化させている力は疎水性相互作用であるということがわかっており, 一次構造も非常に単純な特徴を備えているのである. したがって, 膜タンパク質立体構造を決めるには二次構造のセグメントを知ることとヘリックス間の相互位置関係を明らかにすればよい. 昨年度は一次構造の疎水性プロットと周期性プロットを用いて膜タンパク質の二次構造を高い信頼性で予測する方法を確立することができた. そこで本年度は三次構造に対応するヘリックス間結合に関する変性実験をバクテリオロドプシという典型的膜タンパク質を用いて行なった. 変性の挙動を詳細に調べることにより, 三次構造を作る結合がどういう性質のものであるかが明らかになると考えられるからである. 実験の結果, 少なくともバクテリオロドプシンの場合, ヘリックス間を結び付けているのは膜中の水素結合であるという評拠が得られた. これによって, 最終的に三次構造を予測する可能性が現実のものとなってきた. 最終年度はバクテリオロドプシンの立体構造モデルを構築し, より一般的な膜タンパク質立体構造予測のアルゴリズムに改良する予定である.
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[Publications] Norikuni YANAGIHARA;Makiko SUWA;Shigeki MITAKU: Repts.Progr.Polymer Phys.Japan. 30. 719-720 (1987)
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[Publications] Kazuya IKUTA;Shigeki MITAKU: Repts.Progr.Polymer Phys.Japan. 30. 723-724 (1987)
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[Publications] Makiko SUWA;Shigeki MITAKU: Repts.Progr.Polymer Phys.Japan. 30. 725-726 (1987)
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[Publications] Toshiaki SAKKA;Shigeki MITAKU: Japan.J.Appl.Phys.26-1. 64-66 (1987)
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[Publications] Shigeki MITAKU;Toshiaki SAKKA;Tohgo HOTTA: Japan.J.Appl.Phys.27-1. (1988)
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[Publications] 宮野健次郎;末高洽;大谷弘之;野沢庸則;美宅成樹;塩野悟;和田宇叶;今西幸男;国武豊喜: "バイオ・高分子研究の進歩-研究方法を中心として-,「生体膜複合体と合成膜の機能デザイン」" 学会出版センター, (1988)
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[Publications] 池上明他: "生命科学の基礎6「生体膜の分子素子・分子機械」" 学会出版センター, (1988)