1986 Fiscal Year Annual Research Report
光受容に伴うロドプシンの構造変化のX線散乱法による研究
Project/Area Number |
61460249
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
浜中 俊明 阪大, 基礎工学部, 助手 (60093449)
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Keywords | ロドプシン / X線溶液散乱 / 光中間体 / 構造変化 / コントラスト変化法 |
Research Abstract |
本研究はX線溶液散乱法により視物質ロドプシンの形態および光受容に伴う構造変化を調べようとするものである。 まず、X線溶液散乱実験のための実験系の確立を行なった。その為に封入X線管用発生装置を購入・設置し、仕様どおりに働くことを確めた。次に、真空パスに寄性散乱防止板を付けるなどの改良を行ないながら光学系の設置と調整を進めた。これらの事によって、かなりS/N比の良いデータが得られるようになった。また、低温実験用試料セルを設計し製作を行なった。温度の制御は試料セルホルダー中を液体を流すことで行なう方式とした。しかし、現在のところセルの窓に付く霜の防止法などに於て解決されていない問題が残っている。 次に、X線溶液散乱実験用の試料調整法の確立を行なった。まず、ウシの視細胞からコール酸で可溶化したロドプシンを硫安分画法により純度良く分画した。次に、界面活性剤をショ糖脂肪酸エステルで置換後、コンカナバリンA-セファローズカラムによりさらに精製されたロドプシンを得た。イカ・ロドプシンの場合は硫安溶液中で不安定なので、DEAEセルローズカラムとコンカナバリンA-セファローズカラムの併用によって精製する方法をとった。この後、ポリバッファー交換体カラムを用いることにより、溶媒中の界面活性剤の濃度が調整され、かつ高濃度のロドプシン溶液を得た。 現在、室温において上記の方法で得られたロドプシン溶液からの散乱X線の測定を行ない、予備的データを得ている。今後は、溶媒に庶糖を加えてコントラストを変えた実験を進める予定である。また、低温にして光中間体を安定にすることにより、光中間体についてもX線散乱実験を行なう。
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