1986 Fiscal Year Annual Research Report
時間分解拡散反射スペクトル測定法の開発と固体光反応への応用
Project/Area Number |
61470006
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
増原 宏 京工繊大, 繊維学部, 教授 (60029551)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 憲昭 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 助手 (70176098)
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Keywords | 時間分解分光法 / 拡散反射スペクトル / レーザーホトリシス / 過渡吸収スペクトル / 光化学初期過程 / 中間体 / 粉末 / ナノピコ秒 |
Research Abstract |
標題測定法のナノ秒システムのハード、ソフトの開発を行った。励起光源としてXeClエキシマーレーザー(308nm),モニター光源として150Wのパルス動作Xeランプを使用し粉末試料によるモニター光の拡散反射光をレンズで集め、分光器,光電子増倍管,トランジェントメモリーを通してマイクロコンピューターにとり込み積算し解析する。過渡吸収スペクトルは、レーザー照射により引き起こされる各波長の拡散反射強度の変化より求める。即ち時間t,波長λにおける反射強度をR,Ro(Roは励起していないときの値)とし((Ro-R)/Ro)*100を求める。この値は、%Absorptionと呼ばれ吸光度に対応する。測定条件の検討にはベンゾフェノン粉末を用いた。ベンゾフェノン粉末の過渡吸収スペクトルはTn←【T_i】吸収に帰属されるが、これをもとに励起光、モニター光の試料入射角度、試料セルの厚さ、光反応が起こらない散乱粒子による希釈法、脱気の有無等各条件について検討し結論を得た。応用例として有機多結晶、半導体粉末、シリカゲル吸着系、繊維等に加え、不溶性の高分子固体粉末、口紙上の吸着分子系にも適用できることを示した。不溶性ポリエチレンテルフタレート粉末の光化学初期過程はよく知られていなかったが、430nm付近と520nm付近にそれぞれピークをもつ2種の中間体が存在していことがわかった。これは光劣化反応やレーザーアブレーションの初期過程解明に役立つものと考えられる。この測定法を行っている世界の3研究グループ、Wilkinson,Turro,我々とともにその時間分解はナノ秒であったが、ごく最近我々は上述ベンゾフェノン粉末のTn←【T_1】吸収を10psのタイムスケールで測定することに成功した。
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Research Products
(1 results)