1986 Fiscal Year Annual Research Report
電子相関を取り入れたベンゼン及びハロベンゼンの電子状態の計算
Project/Area Number |
61470013
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
大野 公男 北海道大学, 理学部, 教授 (40000731)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野呂 武司 北海道大学, 理学部, 助手 (50125340)
田中 皓 北海道大学, 理学部, 講師 (00000860)
佐々木 不可止 北海道大学, 理学部, 助教授 (90000794)
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Keywords | ベンゼン / ハロベンゼン / ボラジン / 電子相関 / 励起状態 / 配置間相互作用法 |
Research Abstract |
ベンゼン:従来分子計算に用いられている基底関数が、電子相関をどの程度記述するか炭素電子のCI計算で調べたところ、double zeta程度では電子相関を十分記述できない。励起エネルギー及びイオン化エネルギーにたいしてd関数がきわめて重要でありそのordital exponentは分極関数として決めた値と非常に違うことなどが分かった。そこで、電子相関を良く記述することを前提にした基底関数の検討を行った。その結果Duijneveldtによる10s5pを5s3pに短縮した基底関数が、炭素原子及びエチレンのCI計算において従来の同程度の大きさの基底関数より良好な結果を与えることがわかった。今後の計算ではこの基底関数をベンゼン及び等電子系のボラジンの計算に用いるつもりである。一方、ベンゼン及びボラジンの比較的簡単なテスト計算を行いどちらの分子でもσ-π電子の相関が重要なこと、ボラジンでは最低三重項状態以外の準位は同定自身に問題があることなどが分かった。さらに基低電子配置からみて1電子励起にあたる状態を簡単なCI計算で求めてみたところ、今迄考えられていなかった光学的に許容な状態が見つかった。今後ボラジンではこれらの状態にたいしてCI計算を行っていくつもりである。 フルオロベンゼン:イオン化ポテンシャルのCI計算を行い、実験ときわめてよい一致を得、同定も行った。さらに、各状態の性格を調べ、置換する弗素の個数が増えるに従い、π状態のイオン化ポテンシャルはほぼ一定しているにも係わらず、Σ状態ではイオン化ポテンシャルが増化する傾向にあるというパーフルオロ効果が顕著に現れることが明らかになった。
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