1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61470014
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大野 公一 東大, 教養部, 助教授 (60012499)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 彰則 東京大学, 教養学部, 助手 (00012526)
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Keywords | ペニシン電子分光 / 光電子分光 / 準安定励起電子 / イオン化反応断面積 / 電子移動反応 / 電子分布 / 反応機構 |
Research Abstract |
既設のペニシング電子・光電子分光装置に、角度分解制御装置、ノズルビーム源等を取付けることにより、下記の研究を行った。 1.準安定励起原子【He^*】2【^3S】と気体分子(Ar,【N_2】,【NH_3】,【H_2】O,【CO_2】)の衝突イオン化反応で生成する電子の角度分布を、イオンの終状態を弁別して測定した。【Ar^+】の【3^2】P【3/2】および3【^2P1/2】が生成する反応では異方性の強い角度分布が検出された。【N(^+_2)】の【X^2】ZgとA【^2π_k】が生じる反応では【Ar^+】と類似の異方性が見られたが、【B^2】【Σ_K】では異方性が顕著に減少し、電子を放出するまでに回転運動を伴う緩和機構が存在することが判明した。【NH(^+_3)】が生じる反応では、【He^*】と【NH_3】の衝突ポテンシャルが引力的であるため、寿命の長い衝突錯合体の形成により、かなり強い等方性を示すことが分かった。【H_2】O,【CO_2】等の分子を試料としたばあいについても、イオン化の機構を示唆する結果が得られた。 2.温度可変ノズルビームによって作成した【He^*】2【^3S】を用いて気体試料分子(【H_2】O,ブタジエン等)のペニングイオン化断面積の温度依存性を観測した。分子軌道の動径電子分布および衝突ポテンシャル曲線に関連する情報が得られ、解析を進めている。 3.電子移動反応確率に関する実験情報を解析するためには、分子の外側の電子分布を正しく評価する必要がある。分子表面外の電子密度の動径依存性を、Exterior電子理論および各種の基底関数によるabinitio分子軌道計算に基づいて解析し、正しい分布を与えるのに適正な基底の評価と開発法について、有益な指針が得られた。 4.複数のヘテロ原子を含む有機化合物のペニングイオン化電子スペクトルを測定し、電子移動反応断面積に対するthrough-space/bond相互作用の効果を観測した。 5.質量分析計を設置する新しい真空槽を導入し、ビーム成分,反応生成物の分析を開始した。これを用いて、次年度には、電子移動反応機構をさらに詳しく解析する。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] K.Ohno: Chemical Physics Letters.
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[Publications] K.Mitsuke: Journal of Physical Chemistry.
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[Publications] K.Ohno: Journal of Physical Chemistry.
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[Publications] K.Ohno: Theoretica chimica Acta.