1988 Fiscal Year Annual Research Report
硫黄官能を持つ複素環の高反応性を用いた新反応と新有機試剤開発の研究
Project/Area Number |
61470019
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
古川 尚道 筑波大学, 化学系, 教授 (80015966)
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Keywords | 複素環(ヘテロ環)スルホキシド / ピリジルスルホキシド / α-ピコリルスルホキシド / 光学活性スルホキシド / 不斉誘導 / 脱スルフィニル化 / スルホキシドのリチオ化 |
Research Abstract |
1.ヘテロ環を有する硫黄化合物を合成し、それらの安定性についての検討を行い、今後の研究における展開を試みた。ヘテロ環のうち、ピリジン,キノリン等の含窒素、ナオフェンのような含硫黄ヘテロ環を有する化合物のスイフィド、スルホキシド、スルホン類は安定であり、合成化学の試材等として用いうる。しかし、フラン環は極めて不安定であり合成試材としての用途は限られている。今年度はピリジンのモノスルフィニル置換体を3種類合成し、LDAのような強塩基によるチオ化を行ったところ、立体、位置選択的に、ピリジン環のスルフィニ基に対するαー位のみがリオン化される反応を見出した。このリチオ化体とアルデヒド、ケトン(CH_3)_3Sicl等の親電子試剤を反応させると、スルフィニル基の立体効果により、2種類のジアステレオマーが得られるが、その生成物の比は1:3程度である。光学活性の3-、又はチ-ピリジルP-トリスレスルホキシドとLDA及びベンズアルデヒドの反応により得られるジアステオーマーの選択比を調べ、(S)体のスルホキシドを用いた時に得られたアルコール体の主生成物の光学活性は(S)体であることを明らかにした。この反応は光学活性へテロ環を持つスルホキジドを用いた不斉合成反応であり、ヘテロ環を持つアルコール等の良い合成法である。 2.ピコリル-P-トリルスルホキシドをLDAのような強塩基と処理するとα-スルフィニルカルバニオンが生成する。この反応で光学活性のスルホキシドを用い、ヘテロ環に隣接したα-スルフィニルカルバニオンが得られた後に、アルキン化剤、アセトン等の親電子剤を反応させると、α-位がアルキル化やアセトン化させたジアステレオーマーが得られた。この反応性と立体選択性はピリジンの環上の位置により異り、窒素のα-位では特に選択性が高く、2ケの異性体の内、エリトロ:トレオ=10:1(-78℃)であった。他のヘテロ環についても同様の反応を行い良い結果を得た。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 古川尚道: 有機合成化学協会誌. 45. 624-639 (1987)
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[Publications] N.Furukawa: J.Org.Chem.,to be submitted.
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[Publications] N.Furukawa: J.Org.Chem.,to be submitted.
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[Publications] N.Furukawa: J.Org.Chem.