1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61470025
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
加治 有恒 京都大学, 理学部, 教授 (10025223)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 和彦 京都大学, 理学部, 助手 (00025446)
答利 陸平 京都大学, 理学部, 助教授 (60025377)
|
Keywords | ニトロ基の脱離 / エピスルホニウム / 分子内フリーデルクラフト反応 / シクロプロパン合成 / シクロプロパンカルボン酸 / ブテノリド / 不斉アルコールの合成 / 酵母還元 |
Research Abstract |
本年度に計画した3件の研究は, 下記の通り所定の成果を挙げ得た. 1.ニトロ基を脱離基とするフリーデルクラフト反応:ペンゼン環に炭素側鎖を付し, その4位にニトロ基,3位にフェニルチオ基を付して, 四塩化錫の存在下に室温で3時間反応させると4位で閉環が起き, ニトロ基は脱離した. 収率70〜86%. 3位にニトロ基,4位にフェニルチオ基を付しても,同一の産物を与えるので, この分子内フリーデルクラフト反応は, 中間に, エピスルホニウムを経由して進行するものと考えられる. ^<1)> 2.シクロプロパンを含む環化合物の高効率合成:2ーフェニルチオメチルー3ーフェニルチオプロパン酸アニリドに3当量のブチルリチウムを与えると, βーフェニルチオシクロフロパンカルボアニリドのジアニオンを円滑に生じ, これに任意のアルデヒドを加えて, 塩酸々性にすることにより極めて容易に目的の二環化合物の2ーオキソー3ーオキサー4ーアルキルー5ーフェニルチオビシクロ〔3,1,0〕ヘキサン(4ーアルキルホモブテノリド類)が55〜85%の好収率で得られた. これは極めて効率の良い新合成法を考えられる. ^<2)> 3.官能基をもつ光学活性アルコールの化学修飾:光学活性(100%e.e)の(R)ー1ークロロー3ーアリールスルホニルプロパンー2ーオールを酸化銀で1,2ーエポキシドに変え,これにグリニヤール試薬とヨウ化第一銅を与えると容易に1位がアルキル化された. 光学純度は100%S体であった. 収率70〜95%^<3)> このものに2当量のブチルリチウムを加えると, 容易にジアニオンを生じ,これにハロゲン化アルキルを与えたのち, 酸性にすると3位がアルキル化されたアルコールが得られた. 光学純度100%(S体),収率約70%. ^<4)> これにより,出発物質の1位及び3位を任意にアルキル化できることが判明した. なお, 最終産物は,THF中で造った場合, エリトロ型が優先する. もし, スルホキシドを用れば, トレオ体が優先する.
|
-
[Publications] N.Ono;A.Kamimura;H.Sasatani;A.Kaji: J.Org.Chem.52. 4133-4135 (1987)
-
[Publications] K.Tanaka;K.Minami;A.Kaji: Chem.Lett.809-810 (1987)
-
[Publications] R.Tanikaga;K.Hosoya;A.Kaji: Synthesis. 389 (1987)
-
[Publications] R.Tanikaga;K.Hosoya;K.Hamamura;A.Kaji: Tetrahedron Lett.28. 3705-3706 (1987)