1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61470031
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
畑 辻明 東京工大, 国立大学(その他), 教授 (00016049)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関根 光雄 東京工業大学, 総合理工学研究科, 助手 (40111679)
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Keywords | 投げなわ構造 / 分岐RNA / リン酸トリエステル法 / リン酸化 / RNAの化学合成 |
Research Abstract |
本年度は投げなわ構造の分岐点であるアデノシンから2´方向および3´方向へ任意な方向へオリゴヌクレオチド鎖を伸長できるように工夫したアデノシン2´,3´-ジホスフェート誘導体の合成をまず試みた。 その結果、2´水酸基にビス(フェニルチオ)ホスホリル(PSS)基、3´水酸基にジアニリノホスホリル(PNN)基をそれぞれ位置特異的に導入する方法を見いだした。すなわち、アデノシンの3´,5´-環状シリルエーテルにトリス(ジエチルアミノ)ホスフィンをテトラゾール存在下反応させたあとアニリンとテトラゾールで処理したあとヨウ素酸化することによりPNN基を2´位に導入できた。そこで環状シリル基を除去したところPNN基が2´位から3´位に転位することがわかった。この転位反応は可逆反応であり、メタノール中加熱すると2´-PNN体を3´-PNN体に異性化できることもわかった。この3´-PNN体を5´-モノメトキシトリチル化を経て常法によりPSS基を導入し、分岐点のアデノシンユニットを構築することに成功した。このモノマーユニットのPNN基のアニリノ基は亜硝酸イソアミル処理することにより選択的に除去することができた。その結果得られた3´-モノエステル体をシアノエチル化することで3´-ビス(シアノエチル)ホスホリル体に誘導し、これを合成中間体として、2´-PNN基のフェニルチオ基を次亜リン酸塩処理したのちグアノシン誘導体と縮合を試みたところ2量体が収率よく得られた。さらに、この2量体をジイソプロピルエチルアミンで処理したのちシチジン誘導体と縮合させたところ分岐RNAトリマーが収率よく合成できることがわかった。一方、5´-方向のオリゴマー鎖であるCUGおよびGCACUGの化学合成も併せて検討した結果リン酸トリエステル法により合成することができた。現在これらのRNAフラグメントを当初の予定通り分岐RNAトリマーと縮合させることを検討している。
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[Publications] H.Tanimura: Nucleosides & Nucleotides. 5. 363-383 (1986)
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[Publications] T.Hata: Chemica Scripta. 26. 73-75 (1986)
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[Publications] H.Tanimura: Tetrahedron. 42. 4179-4186 (1986)
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[Publications] T.Hata: Chemistry Letters. 117-120 (1987)