1986 Fiscal Year Annual Research Report
陰イオン応答性ガラス電極の開発と非プロトン性溶媒中での応用
Project/Area Number |
61470037
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
伊豆津 公佑 信大, 理学部, 教授 (70025336)
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Keywords | 陰イオン選択性電極 / 陰イオン用ガラス電極 / 非水溶媒用イオン選択性電極 / リン酸ガラス |
Research Abstract |
本研究は、非プロトン性溶媒中で陰イオンに対してネルンスト応答するがラス電極を開発し、その電極を非プロトン性溶媒中における陰イオンの挙動の研究に応用することを目的とするものである。 本年度はガラス電極を開発するための研究を行なった。リン酸系のガラスが水溶液中で陰イオンに対して応答性(ネルンスト応答ではないが)を示すことが認められているため、本研究でもリん酸系ガラスに注目し、【Ag_2】O-MgO-A【L_2】【O_3】-【P_2】【O_5】,【Ag_2】O-AgI-MgO-A【L_2】【O_3】-【P_2】【O_5】,CuO-MgO-【AL_2】【O_3】-【P_2】【O_5】のような成分からなる種々の組成のガラスを作成して検討した。電極作製法としては、ガラス片を磨いて直径6mm、厚さ0.4mmの円板状にしたものをテフロンで作った電極支持体にネジ式に固定する方法および直径6mmの硬質ガラス管の先端に接着剤で固定する方法と、溶融したガラスに白金線を直接渡してCoatedWire型のガラス電極とする方法について検討した。これらのうち、5【Ag_2】O-4AgI-4OMgO-5A【L_2】【O_3】-5O【P_2】【O_5】の組成のガラス円板をエポキシ樹脂でガラス管に接着したガラス電極は、アセトニトリル中で沃化物、臭化物、塩化物、硝酸の各陰イオンに対して勾配60〜62mVのネルンスト応答し、また過塩素酸イオン、フッ化ホウ素酸イオンに対してもそれぞれ50mV、42mVの勾配を示した。またCoated Wire型の電極も、勾配はやゝ小さくなるが、陰イオンに対する応答性を示した。以上のように、本年度の研究で、非水溶媒中の陰イオンに対してネルンスト応答またはそれに近い応答をする電極を作成することができた。しかし電位応答の再現性にまだかなり問題があり、ガラスの組成、ガラスの処理法、電極の作成法などに、多くの改良すべき点が残っている。現在、より多種類のガラスを作成するとともに、その物理的、化学的性質と電極の応答挙動との関連性をさらに詳細に検討中である。
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