1988 Fiscal Year Annual Research Report
6員キレート環を有するルテニウム錯体の合成および光ラセミ化反応
Project/Area Number |
61470048
|
Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
水町 邦彦 立教大学, 理学部, 教授 (00062513)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
立屋敷 哲 女子栄養大学, 助手 (00076192)
石森 達二郎 立教大学, 理学部, 教授 (40062492)
|
Keywords | ルテニウム錯体 / ジピリジルアミン錯体 / ジピリジルケトン錯体 / ジピルジルメタン錯体 / 光学分割 / 円偏光二色性スペクトル |
Research Abstract |
1.ジ-2-ピリジルメタン(dpm)錯体の合成 [Ru(bpy)_2(dpm)]X_2(X=PF_6,ClO_4)は前年度において合成に成功していたが、その後の研究によりこれがかなり酸化されやすい性質を持つことが明らかになり吸収スペクトル、NMRスペクトルなどの再測定および酸化生成物の同定などを行ない次の諸点を明らかにした。 a)酸化生成物はdpmのメチレン水素が水酸基に酸化されたジ-2-ピリジルメタノール(dpmOH)が配位した[Ru(bpy)_2(dpmOH)]^<2+>塩であることを見いだした。この酸化反応は光により促進される。また遊離の配位子についてはこのような酸化は起こらない。 b)[Ru(bpy)_2(dpmOH)]^<2+>は[Ru(bpy)_2(dpm)]^<2+>合成時の副生成物としても生成し、これらはSP-Sephadexクロマトグラフィーによって分離することができる。合成を窒素気流中で行なうと[Ru(bpy)_2(dpmOH)]^<2+>の生成をほとんど抑制することができる。 2.ジ-2-ピリジルケトン錯体 前年度において合成したRu(III)錯体はdpkが水和した形のジ-2-ピリジル-gem-ジオールからプロトンが解離して生ずる陰イオン(dpkOH^-)が配位した[Ru(dpkOH)_2]X(X=Cl,Br,ClO_4)であることが明らかとなった。この場合dpkOH^-は3座配位子として結合していると推定される。 3.[Ru(bpy)_2(Hdpa)]^<2+>の光ラセミ化反応 水溶液における光ラセミ化反応についての量子収率を温度、照射光の波長、遊離配位子の共存等の条件を変化させ測定した。ラセミ化反応は配位子置換を伴わず分子内機構で進行する。また[Ru(bpy)_3]^<2+>についての同様な測定の結果と比較してラセミ化反応は^3LF励起状態より、また発光は^3CT(Ru→bpy)より起こると推定される。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] 立屋敷、長尾、水町: Chem.Letts.1988年号. 1001-1004 (1988)
-
[Publications] 福地、長尾、三木、水町、石森: Bull.Chem.Soc.Jpn.62. (1989)
-
[Publications] 伊藤,水町: Bull.Chem.Soc.Jpn.
-
[Publications] 荻野、水町、石森、桜井: Bull.Chem.Soc.Jpn.