1986 Fiscal Year Annual Research Report
パルス熱分解法を利用した高分子複合材料の局所構造キャラクタリゼーション
Project/Area Number |
61470064
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
柘植 新 名大, 工学部, 教授 (60023157)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 幸三 名古屋大学, 工学部, 教務職員 (80109305)
大谷 肇 名古屋大学, 工学部, 助手 (50176921)
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Keywords | 高分子キャラクタリゼーション / 熱分解ガスクロマトグラフィー / 架橋構造 / ポリスチレンゲル / エポキシ樹脂 / 加硫ゴム / 熱硬化 / ポリウレタン |
Research Abstract |
加硫したゴムや網目構造をもったさまざまな樹脂に、添加剤などを加えて構成されている高分子複合材料では、その局所構造と材料物性との相関関係を解析することが重要な課題となっている。しかしながら、こうした高分子材料の場合、骨格が三次元構造をもっているために溶媒に不溶であり、通常の分光学的手法で局所構造を詳細に解析することは非常に困難である。本研究では三次元構造をもつ高分子材料の試料片をパルス的に熱分解し、生成したフラグメントを高分解能溶融シリカキャピラリーカラムを装着したガスクロマトグラフにオンラインで導入して得られるパイログラムをもとに、局構造をキャラクタライズするための基礎条件を熱分析等の結果と組み合わせて検討し、以下のような成果を得た。 (1)分子量既知の単分散標準ポリスチレンを基準物質として、ジビニルベンゼンで架橋されたポリスチレンゲルの架橋間平均分子量を推定する方法を提案した。(2)エポキシ環をもつ未硬化のエポキシプレポリマーをパイログラム上に出現させることに初めて成功し、その相対強度からエポキシ樹脂の硬化過程が追跡できることを示した。また、(1),(2)の手法により得られる結果は、差動熱量計により測定された、架橋密度と相関するガラス転移点のデータとよく整合することも確認した。さらに、(3)硫黄加硫されたさまざまなゴム種に特徴的な分解生成物を、硫黄に選択的な炎光度検出器を用いて検出し、加硫過程を追跡する手法を確立した。この他、(4)複雑な極性化合物を生成するためこれまでは必ずしも明確でなかった、ポリエステルおよびポリウレタンの熱分解機構を系統的に明らかにした。(5)熱的に不安定な物質を取り扱ったり、熱硬化過程の解析を行う場合などには、本研究で用いた加熱炉型熱分解装置が最も適していることを証明した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 大谷肇: Analytical Sciences. 2. 179-182 (1986)
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[Publications] 中川博: Journal of Analytical and Applied Pyrolysis.10. 31-40 (1986)
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[Publications] 中川博: Journal of Analytical and Applied Pyrolysis. 11. (1987)
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[Publications] 中川博: Polymer. (1987)
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[Publications] 大谷肇: Journal of Analytical and Applied Pyrolysis. 11. (1987)
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[Publications] 柘植新: Journal of Analytical and Applied Pyrolysis. 11. (1987)