1986 Fiscal Year Annual Research Report
二酸化マンガン電極の減極作用機構に関する構造電気化学的研究
Project/Area Number |
61470075
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
平井 竹次 阪市大, 工学部, 教授 (70032919)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
五百井 正樹 大阪市立大学, 工学部, 助手 (50047297)
椚 章 大阪市立大学, 工学部, 助教授 (20047062)
田里 伊佐雄 岡山大学, 工学部, 教授 (00026014)
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Keywords | 二酸化マンガン / 減極能 / 挿入電極 / 電流走査法 / 微分容量 / 電気化学 |
Research Abstract |
電池を使ってみて起電力維持能力が高いということは一括して作用物質の減極能が大きいという言葉で表現される。電気的には、作動中の分極が少ないということである。電流を取り出しているにもかかわらず、発電部位で分極を起さないということは普通の概念では理解し難い。この独特の機能を付与されているのが実用電池である。乾電池に使われている二酸化マンガンという減極剤は、決して減極能の大きいものではないが、減極作用の機構を探るには恰好の試料である。本研究では、二酸化マンガンを対象として1)電流走査法によって電池の微分容量と微分抵抗相当分を推定することより減極能の評価を行う、2)二酸化マンガン電極の放電曲線の傾きが、理論値の2倍にも及びしかも後半においてS字型放電曲線の歪みが大きいことを熱力学的な立場から立証した。このことは、挿入反応型電極あるいはインターカレーション電極に必然的な現象であることを示唆した。 まず、1)については減極能というのは、蓄積しうる電気量の大きさと、蓄積能力の速さとからなるとした理論式を提案し、電流走査法でえられた非定常分極一時間曲線との対応から、数値解をえた。市販の単一型乾電池については、微分容量5万フラッド、反応抵抗の1オーム程度の値をえた。これは電気二重層容量の千倍にも及び、減極能といいうるものであった。つづいて2)については、挿入型電極について電極反応式にネルンスト式を適用してえられる放電曲線の中間勾配には、固相内侵入イオンの効果が加味されておらず、相の電気化学的平衡に関する熱力学的取扱いによれば、理論的に上記の勾配の2倍になることを示した。液体型酸化還元系では、前者の勾配に帰一することからも本考案の妥当性が伺える。つづいて、放電曲線の後半の歪みについては、侵入イオン同志間のクーロン力の効果を考えることによって説明できることを述べた。
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[Publications] A.Kunugi;K.abe;T.Hagi;T.Hirai: Bull.Chem.Soc.Jpn.59. 2009-2010 (1986)
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[Publications] T.Ohzuku;K.Sawai;T.Hirai: J.Power Sources. (1987)
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[Publications] 日本化学会編: "化学便覧 応用化学編" 丸善, 1569 (1986)