1986 Fiscal Year Annual Research Report
超プロトン性配向基による高選択的な炭素-炭素結合開裂
Project/Area Number |
61470087
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
伊藤 健児 豊橋技科大, 工学部, 教授 (60023149)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西山 久雄 豊橋技術科学大学, 工学部, 助教授 (40135421)
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Keywords | フラグメンテーション / 酸化開裂 / 高選択的開裂反応 / 有機ケイ素化合物 / 有機スズ化合物 / オキシム / 複素環化合物 |
Research Abstract |
極性不飽和結合のベータ位に超プロトン性配向基として有機シリル、ゲルミル、またはスタニル基を有する反応基質を、これら有機金属基アニオン種の共役付加ならびに対応するエノラート種の有機メタリルメチル化を基本反応として合成した。この方法で合成したベータメタリルケトオキシム誘導体、ヒドラゾン誘導体、およびカルボン酸誘導体の金属-炭素結合を以下の手法で活性化させ金属基のベータ位に存在する炭素-炭素結合をきわめて温和な条件下に高い選択性で開裂できる新しい合成反応を開発することに成功した。具体的にはベータ有機シリルケトオキシムアセタートは触媒量のトリメチルトリフラートにより求電子的活性化を受け、位置および立体特異的な炭素-炭素結合開裂をおこし、対応するアルケニルシアニドを生成することを発見した。一方ベータ有機ゲルミルおよびスタニルケトオキシムは四酢酸鉛を用いた酸化的活性化により炭素-炭素結合が切断を受け、アルケニルニトリルオキシドを生じ、それは直ちに分子内環化付加をおこす結果、対応する【△^2】-イゾキサソリン誘導体を立体特異的に生成することを明らかにした。このさいスズがとくにすぐれた配向基であった。さらにベータスタニルヒドラゾン誘導体の酸化活性化を検討し新しいシクロプロパン化反応を開発した。生じるアゾシクロプロパン類は塩化第一スズと処理することにより炭素-炭素結合を開裂し、ピラゾリン骨格へ環拡大できることも明らかにした。またベータ位に有機シリル、ゲルミル、およびスタニル基を有するベータメタロカルボン酸誘導体は、四酢酸鉛と反応させることにより、きわめて温和な条件下に金属-炭素および炭素-炭素結合を切断し、脱炭酸することを発見した。このオレフィン生成反応は有機金属基による完全な方向制御を受ける位置選択的な反応であることも明らかにしたが、その立体特異性の発現は困難であった。
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[Publications] 西山久雄,金井勇樹,川嶋裕幸,新井宏幸,伊藤健児: Tetrahedron Letters. 27. 361-364 (1986)
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[Publications] 西山久雄,松本誠,新井宏幸,坂口久雄,伊藤健児: Tetrahedron Letters. 27. 1599-1602 (1986)
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[Publications] 西山久雄,坂口久雄,伊藤健児: Journal of the Chemical Society,Chemical Communication.