1988 Fiscal Year Annual Research Report
クラウンエーテル集合体の金属塩捕捉ならびに輸送挙動の基礎的研究
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61470088
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松田 勗 九州大学, 工学部, 教授 (90037672)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗田 眞弓 九州大学, 工学部, 教務員
和田 冨美夫 九州大学, 工学部, 助手 (90108671)
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Keywords | 液晶性クラウンエーテル / 液晶中の錯生成 / コレステリッククラウンエーテル液晶 / クラウンエーテル会合体によるカチオン輸送 / 液膜輸送 / double cycle mechanism. |
Research Abstract |
1.液晶クラウンエーテルの合成と錯生成挙動、ベンゾクラウンエーテルを含む液晶性クラウンエーテルは液晶領域温度が高いので、より低い領域で液晶となるものとして、ジアザ-18ークラウンー8,および15ークラウンエーテルに、Pー長鎖置換のビフェニル基をつけたものを合成したが、柔軟なクラウン環をもつものは液晶性を示さないことが分った。一方、コレステリル基をベンゾクラウンエーテルに結合したものはコレステリック液晶性を示し、15環と18環をもつものを混合することによって室温付近まで液晶領域温度を低下させ得るという興味ある結果を得た。蛍光を利用する液晶中での錯生成能の検討について、チオシアナート塩の代りにピレンカルボン酸塩を用いて検討した。その結果、液晶中での錯生成能の評価には、クラウンエーテル環に近い距離で相互作用する蛍光剤を用いる必要があることが分った。 2.液膜輸送におけるクラウンエーテル錯体の挙動、昨年につづき、新たに合成した7種の対アニオン化合物(2,6ージ置換ー4ーニトロフェノール)を、C_<18>ー鎖をもつ18ークラウンー6、C_7〜C_<18>ー鎖ならびにアダマンチル基をもつNーモノアザ18ークラウンー6と組合せて、アルカリカチオンの液膜輸送能を比較検討した。脂溶性基をもつクラウンエーテルではC_<18>-長鎖0の効果はほとんどないが、C_<18>ー鎖をもつNーモノアザクラウンエーテルは塩酸酸性の受液相に対し異常な加速効果を示すことを見出した。これに対して、1)受液相の酸の種類、2)アダマンチル基をもつものとの比較、3)長鎖三級アミンの添加などについて、瞬間マルチ測光システムを利用して詳しく検討した。その結果、有機液相中での対アニオンの交換ならびに有機液相中におけるクラウンエーテル会合体(逆ミセルの生成)を含む、今まで全く知られていない新しい輸送機構("double cycle macha-nism")で輸送が起ることを始めて明らかにすることができた。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 何公欣,石井泉,栗田眞弓,菊川清,松田勗: Chemistry Letters. 1987. 1603-1606 (1987)
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[Publications] 何公欣,和田冨美夫,菊川清,松田勗: Journal of the Chemical Society,Chemical Communications. 1987. 1294-1295 (1987)
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[Publications] 何公欣,菊川清,大江宏,町田光雄,松田勗: Journal of the American Chemical Society. 1988. 603-604 (1988)
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[Publications] 何公欣,菊川清,池田敏彦,和田冨美夫,松田勗: Journal of the Chemical Society,Perkin Transaction II. 1988. 719-724 (1988)
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[Publications] 何公欣,菊川清,西山信男,大江宏,松田勗: Bulletin of the Chemical Society of Japan. 61. 3785-3787 (1988)
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[Publications] 何公欣,石井泉,栗田眞弓,和田冨美夫,松田勗: Chemistry Letters. 1988. 1483-1486 (1988)