1986 Fiscal Year Annual Research Report
分極率異方性の測定による液晶の分子間相互作用エネルギーの解析
Project/Area Number |
61470098
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
安部 明廣 東京工大, 工学部, 教授 (50114848)
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Keywords | 分極率異方性 / 液晶 / 主鎖型高分子液晶 / 分子間相互作用 / 重水素NMR / コンホメーション / NI相転移 |
Research Abstract |
本研究は、液晶状態において異方性の高いメソゲン分子間に働く配向度依存性相互作用を分子論的に解明することを目的とする。 メソゲン間に働くLondos分散力は、メソゲンの分極率異方性に大きく依存すると考えられるが、これを定量化するために、科学研究費補助金を受けて光散乱光度計SL-600を購入すべく手配中である。 当研究室設置後、当分は精度の確認と向上のため、物性既知の化合物を用いて試運転を行うことになる。 一方、液晶、ことに主鎖型高分子液晶中におけるメソゲン配向秩序を知ることも重要であり、並行して検討を行っている。 重水素NMRスペクトルを回転異性状態近似によって解析し、液晶状態で許されているコンホメーションの推定を行った。 スペクトルをほゞ完全に再現できるコンホマーの組を見出し、これに基づき熱力学的計算を行い実験値と比較した。 この結果主鎖型液晶においては、分子軸は通常メソゲン軸をと同一ではなく、むしろ両端メソゲンの中心を結んだ線の方向にあることが判明した。 これについては、現在論文準備中である。 なお、NI転移点における実測のエントロピ一変化に較べて、計算によるコンホメーション・エントロピーの寄与がやゝ大き過ぎるが、この原因については現在検討中である。等方相における分子会合の可能性もあり、今後興味のあるテーマとなろう。
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