1987 Fiscal Year Annual Research Report
広い濃度領域にわたる半屈曲性高分子の溶液物性とその温度依存性に関する研究
Project/Area Number |
61470100
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Research Institution | 東京水産大学 |
Principal Investigator |
齋藤 隆英 東京水産大学, 水産学部, 教授 (10015521)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水野 治夫 東京水産大学, 水産学部, 助教授 (40017041)
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Keywords | コラーゲン / 半屈性高分子 / 熱変性 / 溶液物性 / 準希薄溶液 / 相互作用 / 分子形 |
Research Abstract |
1 本研究は,ゴカイのクチクラコラーゲンを用い,広い濃度領域にわたる流動特性と熱力学的特性から,半屈曲性高分子の準希薄濃度域の物性に関する知見を得ると共に,熱変性に伴うクチクラコラーゲンの分子形状の変化を,溶液物性と熱特性の上から比較検討することを目的としている. 2 このため,分子量160万のクチクラコラーゲンと分子量30万のカーフスキンコラーゲンとを用い,希薄濃度領域から準希薄領域への転移域付近における流動特性の詳細な検討と,熱変性に伴う分子量,及び分子形の変化を追及することにより,熱変性機構の検討を重点的に行った. 3 62年度中に得られた成果の概要は次の通りである. (1) 静的粘性率,沈降速度の測定によれば,クチクラコラーゲン及びトロポコラーゲンは,両者共0.12g/dl付近,熱力学的相互作用の測定によれば,両者共0.16g/dl付近に臨界域の存在することを確かめたが,更に動的粘性率の測定からも,ほぼ同じ濃度域に臨界域の存在することを確かめた. (2) 熱変性によるクチクラコラーゲンのゼラチン転移を,光散乱,及び沈降平衡の測定から,次のような機構で転移することを明らかにした. 即ち,クチクラコラーゲンの転移は,トロポコラーゲンと異り,緩やかな階段的な変化をたどること,熱変性後は一部でいわれているような2本鎖と1本鎖の混合物ではなく,分子量約50万のコイル状分子3ケに解離することを明らかにした. 4 以上の結果の一部は,62年秋の高分子学会討論会で発表した. 又,63年高分子学会年会でも発表する予定である 5 63年度は,更に3に述べた点の詳細な研究を進めると共に,本研究の総括を行う予定である.
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