1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61470102
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
寺本 明夫 阪大, 理学部, 助教授 (00028151)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栄永 義之 大阪大学, 理学部, 助手 (70028257)
則末 尚志 大阪大学, 理学部, 助教授 (10028227)
|
Keywords | 天然多糖 / 棒状高分子 / 三重らせん / 二重らせん / コンホメーション変化 / 構造転移 / 電位差滴定 |
Research Abstract |
今年度は水溶性多糖シゾフィラン及びザンサンの稀薄溶液物性と光散乱,粘度,旋光度,電位差滴定,熱測定により研究し、下記の成果を得た。 1.水溶液中におけるシゾフィラン(非電解質)の規則-不規則構造変化(約7℃で起こる)は主鎖の棒状三重らせん形態の変化でなく、側鎖グルコースと溶媒の水分子が関与した協同的構造転移であり、それに伴う比熱,旋光度の変化は一次元Lsingモデルによって定量的に記述される。またその転移は、溶媒を重水に代えると高温側に移動し、顕著な同位体効果を受ける。 2.0.01M Nacl水溶液中のザンサン(電解質)は温度上昇に伴い秩序-無秩序形態変化を起こす。25℃での秩序形態はすでに見いだした高塩濃度での棒状二重らせんと同じであり、80℃での無秩序形態は静電的相互作用によって拡った二量体コイルである。従ってザンサンの秩序-無秩序形態変化は、DNAについて知られているような二重らせんの部分的融解過程である。その融解に伴うザンサン二重体の極限粘度の慣性半径の変化は鎖の両端から部分解離したモデルによって説明できる。 3.25℃のNaCl水容液中におけるサンザン二重らせんの滴定曲線は均一荷電円筒モデルの理論では記述できない。現実の不連続な荷電分布を考慮した理論(本研究で検討)はNaCl濃度が0.05M以上であればデータを正確に記述する。温度を上昇させると、二重らせんの部分融解の影響が滴定曲線に反映される。これの理論的説明は現在検討中である。 設備備品のコリレーターは光散乱装置に接続し、現在標準試料を用いて予備実験中である。また磁気浮遊型粘弾性装置についても、純液体を使って予備試験を行っており、これらの装置は次年度からの多糖濃厚溶液の研究に適用する。ザンサンの液晶に関する研究も開始した。
|
-
[Publications] T.Itou: Polymer Preprints,Japan. 35. 2962-2965 (1986)
-
[Publications] L.Zhang: Polymer Preprints,Japan. 35. 2982-2985 (1986)
-
[Publications] L.Zhang: Macromolecules.