1987 Fiscal Year Annual Research Report
環境ストレス植物の急速凍結法による細胞骨格の構造とその機能の解析
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61470122
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
森 敏 東京大学, 農学部, 助手 (90011915)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西澤 直子 東京大学, 農学部, 助手 (70156066)
湯本 昌 東京大学, 医学部, 助手 (90009978)
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Keywords | 環境ストレス植物 / 急速凍結置換法 / ムギネ酸分解菌 / 鉄欠乏ストレス / 塩類ストレス |
Research Abstract |
1.急速凍結置換法の植物試料への応用 動物細胞に較べ, 含水量が多いために従来成功例の少なかった植物組織での急速凍結に, 葉を用いて成功したことは前年度に報告した. 本年度は, 葉よりさらに困難の予想された根を用いて, 良好な凍結を得ることに成功した. また, その際, 水耕栽培より土耕哉培の根を用いる方が, 充分な凍結の得られやすいことが明らかになった. 鉄欠乏大麦根の表皮細胞には, 従来の化学固定では観察されなかった細胞膜の裏付ち構造(クラスリンにより構成されると推定される)の存在がみられ, Endocytosisが示唆された. また分泌小胞は, 電子密度の高いものと低いものの二種類に分けられることも判明した. さらに根表層のMucigel部に数多くの, 細菌の生育がみられた. 細菌も植物根と同じように, 急速凍結法によりはるかに保存のよい構造が得られ, べん毛も観察可能であった. これらの細菌は, 別に鉄欠乏大麦根より単離, 培養したムギネ酸分解菌を, 同様に急速凍結した像と形態が同じであり, 鉄欠乏大麦根より多量に分泌されるムギネ酸を利用する分解菌であると推定された. 根圈における植物根と微生物の相互作用を研究する上にも, 急速凍結法は有効な手段であると考えられる. 2.環境ストレス植物の産生する各種物質の抗体作成 (1) 鉄欠乏大麦根が分泌するムギネ酸の抗体:ムギネ酸がタンパク質ではなくアミノ酸であるために, 調製は難行をきわめたが, 抗原の作成が終了し, 現在ウサギに投与中である. (2) 塩類ストレス根内の塩類ストレス誘導タンパク質の抗体:塩類ストレスにより特異的に出現するタンパク質を電気泳動ゲル上より切りだし, 精製して抗原を得た. 抗原量が微量のため, ウサギの後足リンパ節注射により, 抗体を調製中である.
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Shinsuke Shojima: Protoplasma. 140. 187-189 (1987)
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[Publications] 渡辺聡: 昭和62年度東京大学修士論文要昏(農業化学専攻). 81-81 (1988)
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[Publications] 横井郁夫: 昭和62年度東京大学卒業論文. 1-58 (1988)