1988 Fiscal Year Annual Research Report
火山灰耕地土壌におけるVAミコリザの生態と作物生育に及ぼす影響
Project/Area Number |
61470123
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture & Technology (Tokyo Noko University) |
Principal Investigator |
平田 煕 東京農工大学, 農学部, 教授 (70011872)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
有馬 泰紘 東京農工大学, 農学部, 助教授 (90011973)
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Keywords | 腐植質黒ボク土 / VAミコリザ形成とポリマルチ / VAミコリザ菌胞子 / VAミコリザ菌の宿主特異生 / Glomus属とダイズ / VAミコリザ菌と除草剤 / VAミコリザ菌と非ミコリザ植物 / VAミコリザ菌と輪作 |
Research Abstract |
1.本大学農場(多腐植質黒ボク土)野菜畑において、ポリマルチ処理はダイズの初期生育を顕著に促進するが、その原因が5〜10℃の地温上昇に伴うVAミコリザの早期形成に基因するP吸収増進と根粒形成促進にあることが示された。しかし6月下旬〜7月上旬のマルチ継続はVAミコリザの持続にはならず、子実生産への貢献との視点からはなお多面的検討を要しよう。 2.圃場に生息するVAミコリザ菌の種と数は、作付や耕種によって多様であるが、飼料作物畑の場合、径53μm以上のものは300〜500ヶ/100ml風乾土計測されるが、その99%はGlomus属であった。その中に数種の存在が推定されたが、同定はなお未確立である。 3.同圃場から分離回収されたGlomus属の中で、量的に最優勢な種(Yと仮称、胞子が黄褐色)を、白クローバを宿主として増殖し、数主作物の生育への影響をみた。ダイズ、ヒヨコマメに対しては高い感染生と3〜6倍のP吸収及び生育(とくに子実生産)促進をもたらしたのに対し、トウモロコシ、コムギに対しては"相性"悪く、低感染生と寄生的関係を示すといった一定の宿主特異生をもつことが明らかとなった。Yに比してGigaspora margaritaのダイズとの"相性"は極めて低いことも、同時に示された。 4.農水省農研センター筑波圃場内の、除草剤連用畑におけるVAミコリザ菌胞子の分布を、作付との関連で調査した。本大学農場と同じくGlomus属が90%以上(径>100μm、500〜1000ヶ/100g乾土)を占めたが、非ミコリザ植物とされているキャベツ(アブラナ科)連作の圃場でのみ、除草剤(ベンチオカーブ,トリフルラリン,アラクロール)施用で胞子数か減少する傾向がみられたが、ミコリザ植物(オオムギ、トウモロコシ、カンショ、ラッカセイ)と輪作している圃場の場合、除草剤処理区の方がむしろ若干胞子数が多い(15〜50%)という結果が得られた。 5.過去3ヶ年間に得られた知見を整理し、「研究実績報告書」としてまとめるとともに、逐次、学会誌等へも公表して行く。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Hirata,H.;Tazaki,T.;Masunaga,T.;Koiwa,H.: International Symp.Mineral Nutr.& Photosyn.(Varna,Bulgaria,Oct.1987)Transaction.in Press.
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[Publications] Hirata,H.;Masunaga,T.;Koiwa,H.: Soil Sci.Plant Nutr.,. 34. 441-449 (1988)
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[Publications] Kubota,A.;Hirata,H.: Soil Sci.Plant Nutr.,in preparation,.
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[Publications] Ohwaki,Y.;Hirata,H.: Plant and Soil,.
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[Publications] 斉藤龍司・平田煕: 日本土壌肥料学雑誌.
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[Publications] 有馬泰紘: 日本土壌肥料学雑誌. 58. 542-548 (1987)
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[Publications] 平田煕: "農業技術体系「土壌・施肥編第1巻」根の活力と根圏環境" 農文協, 63-70 (1987)
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[Publications] 平田煕: "「作物の生育と根圏環境の相互作用」資料編 根圏環境と作物生育-りん栄養を中心として-" 農水省 農協環境技術研究所, (1989)