1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61470125
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Research Institution | Iwata University |
Principal Investigator |
江尻 愼一郎 岩手大学, 農学部, 助教授 (90005629)
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Keywords | 翻訳制御 / ペプチド鎖伸長因子1 / EFー1 / protein kinase / protein phosphatase / タンパク貭生合成 |
Research Abstract |
ペプチド鎖伸長段階をめぐる翻訳制御系は全く不明であったが,筆者は,細年度の本研究において,カイコ絹系腺より,4種類のEFー1サブユニットαββ′γのうち,βを特異的にリン酸化する40KDサブユニットから成るβーkinaseを精製した. 今年度は,コムギ胚芽より,53および35KDサブユニットより成る93KDのβーkinaseを均一にまで精製した. この酵素は,ATPおよびGTPをリン酸基供与体とし,ββ′γ(EFTsに相当)複合体中のβサブユニットのスレオニンおよびセリンをリン酸代した. このリン酸化は,カイコ絹糸腺βーkinaseとは異なり,cGMPまたはcAMPで促進された. 次に,〔^<32>P〕ββ′γを基貭として,カイコ絹糸腺より,35および24KDサブユニットより成るβーphosphataseを精製し,βに結合したリン酸基の役割を追求した. その結果,nativeーββ′γは,βーkinaseによりリン酸化すると,nativeーββ′γより高いタンパク貭生合成促進活性を示し,βーphosphataseによる脱リン酸化で活性が殆ど消失した. このββ′γをβーkinaseで再リン酸化すると活性が完全に回復した. リン酸化されたβ(ββ′γ)が,α. GDPと外部のGTPとの交換反応を促進する結果,績^<14>C〕pheーtRNAのリボソームへの結合反応が促進されることが明らかとなった. 本研究では,カイコ絹糸腺およびコムギ胚芽のβがin vivoでもリン酸化されること,単離した各サブユニットから4サブユニットから成るEFー1が再構成されることなどの亊実も発見した. 以上のように,EFー1をめぐる制御系の発見および反応機構の解明は,本研究が最初であり,所期の目的を充分達成したものと考えられる. 今後,この系が「新翻訳制御系」として,独自の研究へと発展するものと期待できる.
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[Publications] Ejiri,S.;Kawamura,R.;&Katsumata,T.: Eur.J.Biochem.
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[Publications] Ejiri,S.;Kikuchi,T.;&Katsumata,T.: Eur.J.Biochem.