1986 Fiscal Year Annual Research Report
組換えDNA技術を用いるプロキモシン蛋白分子の改変と再構築に関する研究
Project/Area Number |
61470130
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
別府 輝彦 東大, 農学部, 教授 (80011873)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀之内 末治 東京大学, 農学部, 助手 (80143410)
祥雲 弘文 東京大学, 農学部, 助手 (70012036)
魚住 武司 東京大学, 農学部, 助教授 (40011978)
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Keywords | プロキモシン / 凝乳酵素 / 酸性プロテアーゼ / 部位指定変異 / 蛋白質工学 / チロシン77 |
Research Abstract |
凝乳酵素プロキモシンは、我々が構築したtroプロモーターを用いるプロキモシンCDNA発現プラスミドにより大腸菌菌体内に全蛋白の20%以上に達する不溶性のinclusion bodyとして生産され、尿素抽出、アルカリ条件下の再生、酸性処理によって活性キモシンに変換することができる。プロキモシンcDNA中に各種制限酵素部位への捜入欠失、部位指定変異によるアミノ酸置換等を導入し、この系を用いて再生、活性化を行ない、30種類以上の改変プロキモシンを得た。その凝乳活性、プロテアーゼ活性、至適pH、熱安定性を測定することにより明らかとなった特性、構造と機能の関係を以下に示す。(1)アミノ酸捜入による改変キモシンの特性-アミノ酸捜入によって得られた改変蛋白34種のうち約半数が完全に活性を消失し、それらは立体構造上、活性中心近傍とβシート中に変異を持つものに集中していた。一方、捜入によって活性が失われないものは、分子表面に変異を有するものが多かった。また、凝乳活性/プロテアーゼ活性(C/P値)が大きく変動しているのはクレフト形成部位及びその近傍に変異を有し、特にPro(110)-Gly(111)にSer-Argを挿入したものではC/P値が野生株の約2倍となり、凝乳酵素としての特性改善が見られた。 (2)部位指定変異による改変キモシンの特性-酸性プロテアーゼのX線解析からTyr(77)はflapを形成して基質結合に関与することが示唆されていたが、Pheに変換した改変蛋白は凝乳活性を有し、この残基が直接触媒活性に関与しないことが明らかになると同時に、C/P値が2.4倍と大きく変化することからTyr(77)の水酸基が基質特異性に大きく関与することが示された。 以上の結果から、プロキモシンを実際に蛋白質工学的に改良しうることが明らかになるとともに、酸性プロテアーゼの構造と機能、その特殊性の解明に新しい知見が得られたと考えられる。
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[Publications] Yoshiyuki Kawaguchi;Noboru Yanagida;Takeshi Uozumi;Teruhiko Beppu: Agricultural and Biological Chemistry. 50. 499-500 (1986)
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[Publications] Yoshiyuki Kawaguchi;S.Kosugi;Katsuhiko Sasaki;Takeshi Uozumi;Teruhiko Beppu: Agricultural and Biological Chemistry. 51. (1987)