Research Abstract |
Site directed mutagenesisによって, Tyr77を, Thr(水酸基をもつアミノ酸)Trp(芳香環を持つアミノ酸), Val,Ile(疎水性アミノ酸)に, 系統的に変換した. その結果, Trp77は, 活性が非常に低下はしたものの, 十分検出できる活性を有していた. 凝乳活性と, 酸変性ヘモグロビンに対するプロテアーゼ活性の比(c/p比)は, 野性型の0.6倍であった. その他の, Thr Ile,Valに変換したものは, どれも, 測定できる活性を有していなかった. このことにより, この部位には芳香環の存在が必須であることが示された. また, c/p比が上昇した改変酵素のPhe77,Phe113, 及び, 耐熱性が著しく減少したLeu40を組みあわれ, 2ヵ所の変異を同時に持つ酵素を作成し, その性質を調べた. 77F113Fについては, 期待された基質特異性の向上はみられなかったが, 40L77F及び40L113Fといった酵素については, 77F,113Fの特徴を残しながらも, 耐熱性が減少することが示された. 従って, 40番目のアミノ酸をLeuに変換することで, ある特性を持った改変キモシンに, 耐熱性の要素を付加することが可能になったと考えられる. 凝乳酵素においては, 耐熱性の〓度な減少は, 実用上好ましい性質であるため, このことは, 有用な酵素を得るための, 重要な知見と言えよう. また, 今までに得られた種々の改変酵素の性質を明らかにするため, 合成基質を用いた反応速度論的解析を行った. そのためには, 再構成できなかったプロキモシン蛋白や, 混在してくる菌体蛋白を除き, 活性化可能なプロキモシンを精製する必要があったため, 精製スキームを検討し, FPLCのMono Qカラム及びSuperoseカラムを通すことにより, SDSーPAGEでシングルバンドになるまで精製できた. LeuーSerーPhe(NO_2)ーMeーAlaーLeuーOMe)を用いた反応速度論的解析の結果, 77Fは, 野性型酵素に対してKwが3倍, Kcatが0.1倍, 113Fは, Kwが4.5倍, Kcatが3.5倍となり, 基質特異性の変化が示された.
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