1987 Fiscal Year Annual Research Report
食肉の軟化に関与するパラトロポミオシンに関する研究
Project/Area Number |
61470140
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
高橋 興威 北海道大学, 農学部, 助教授 (40001432)
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Keywords | 食肉の軟化 / 食肉の熟成 / パラトロポミオシン / アクチン / ミオシン相互作用 / 硬直結合 / サルコメアの伸長 |
Research Abstract |
パラトロポミオシンは,熟成に伴う食肉の軟化機構を追究する過程で本研究代表者によって発見された筋原線維性蛋白質であり,死後硬直時にアクチン・ミオシン間に形成された硬直結合を脆弱にする作用を有している. 本研究は食肉の軟化とパラトロポミオシンの関係を明らかにすることを目的としており,科学研究費補助金の補助條件に従って消耗品を購入し,以下に述べる成果を得ることができた. 1.間接免疫蛍光法によりパラトロポミオシンの筋原線維内局在を調べた新鮮なウサギ骨格筋においてパラトロポミオシンは筋原線維のAーI接合部に局在するが,5日間冷蔵した筋肉では細いフィラメントのアクチン上へ局在移動することが明らかになり,食肉の熟成に伴って硬直結合が脆弱になるのはパラトロポミオシンの局在移動によることが証明された. この局在移動は10^<-4>MCa^<2+>によって誘起されることから,食肉の熟成中に筋漿Ca^<2+>濃度が10^<-4>Mに上昇することが原因であると結論した. 2.死後硬直時に短縮したサルコメアは食肉の熟成中に静止長へと復元するが, この現象はパラトロポミオシンによる硬直結合の脆弱化が原因であると推定していた. それを実証するために,硬直を起こしたグリセリン筋に純化したパラトロポミオシンを添加してから筋の一端に荷重をかけると,予期した通りに,サルコメアは伸長した. この伸長が最もよく起こる條件について種々検討したところ,pH5.5,5ー10℃という熟成時の食肉におけると同一のものであることが判明した. また,このような條件下で発生する硬直張力は筋肉が死後硬直時に発生する張力と同程度の大きさであったことから,食肉の熟成に伴うサルコメアの伸長はパラトロポミオシンによって誘起されることが明確になった.
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Research Products
(3 results)
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[Publications] K.Wakahashi: J.Biochem.102. 1187-1192 (1987)
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[Publications] A.Hattori: J.Biochem.
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[Publications] M.Yamanoue: J.Biochem.