1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61470152
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
長 哲郎 東北大学, 薬学部, 教授 (10010753)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安斉 順一 東北大学, 薬学部, 助手 (40159520)
小林 長夫 東北大学, 薬学部, 助手 (60124575)
上野 昭彦 東北大学, 薬学部, 助教授 (50091658)
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Keywords | γ-シクロデキストリン / 包接化合物 / アントラセンの光二量化 / エキサイトン・カップリング / テンプレート / エキシマー / ピレン / フォトクロミズム |
Research Abstract |
9-アントラセンカルボン酸残基2個を有するγ-シクロデキストリン(γ-CD)のAB、AC、AD、AE異性体を合成した。この化合物の円偏光二色性スペクトルは、アントラセン間の電子的相互作用に基づくエキサイトン・カップリングを示し、アントラセン2個が捩れて同一空孔内に収容されていることが明らかとなった。ゲスト添加により、二色性強度は変化し、ゲスト包接に伴いアントラセンの位置の変化が起こることが示唆された。また、AC異性体では2個のアントラセンの対面相互作用が困難で、分子内コンプレックスの安定性が低く、外部ゲストの包接が容易であることが明らかとなった。光照射によるアントラセンの光二量化は、すべての化合物で進行したが、AB、ACでは生成二量体は不安定で熱的に解裂し、モノマーが復元した。すなわち、この系ではフォトクロミズム挙動が観察された。他方、AD、ACでは、光二量体は安定であった。光二量体の立体化学は、ABでシスであり、通常の溶液状態では得られないものであった。AC、AD、AE体ではトランスであった。かくして、γ-CDのテンプレートが反応の立体化学制御に有効であることが示された。2、6位にP-ニトロフェニル含有鎖を有するナフタリンと6-アミノ-γ-CDとの反応は、第一段にアミノ基との反応、第二段にゲスト存在でのγ-CDの二級水酸基への反応を予定していたが、反応の制御が困難であった。反応の解析と改良が課題として残っている。なお、ピレン修飾γ-CDを大きなスペーサーを有する系として合成したが、この化合物は著しく会合しやすいことが判明した。会合体中でエキシマーを形成するが、ゲスト添加により会合体は解離し1:1ホスト・ゲストコンプレックスに変化した。ゲスト添加によるピレン螢光のエキシマーからモノマーパターンへの変化は、この系が有機分子検知のセンサー系として使用できることを示している。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Akihiko,Ueno: J.Am.Chem.Soc.110. 4323-4328 (1988)
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[Publications] Fumio,Hamada: Bull.Chem.Soc.Jpn. 61. 3758-3760 (1988)
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[Publications] Akihiko,Ueno: J.Chem.Soc.,Chem.Commun.1042-1043 (1988)
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[Publications] Akihiko,Ueno: J.Chem.Soc.,Chem.Commun.1373-1374 (1988)
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[Publications] Akihiko,Ueno: J.Org.Chem. 54. 295-299 (1989)