1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61470155
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
田川 恵美子 奈良女子大学, 家政学部, 助教授 (80031699)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮本 栞 広島大学, 学校教育学部, 助教授 (60099489)
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Keywords | 界面活性剤の吸着 / 界面電気現象 / ゼータ新離 / ナイロン / 硫酸アルキルナトリウム / 吸着平衡定数 / 吸着自由エネルギー / 吸着の熱力学関数値 |
Research Abstract |
固/液界面における界面活性剤の吸・脱着の速度論的研究を行うに当たりストップトフロー法を応用して陰イオン性界面活性剤のナイロン粒子表面からの脱離速度を測定する方法を検討した結果, 初期脱離速度が追跡できることが昨年度の研究から明らかとなったので, 本年度では吸着速度定数の算出に必要な吸着保衡に関する研究を重点的にすすめた. すなわち,アルキル鎖長の異なる硫酸アルキルナトリウム(C_<10>,C_<12>,C_<14>,C_<16>)のナイロンに対する平衡吸着量を18℃から35℃までの範囲で温度を変化させて求め,吸法等温図をLangmuir式を適用して解析し,各温度における平衡定数を求めた. 吸法量の測定は前年度に検討した界面動電位(ゼータ電位)法と電導度法でそれぞれ行った. 吸着平衡定数から吸着自由エネルギーを求め, その温度依存性から吸着エンタルピーと吸着エントロピーを求めた. これらの熱力学的関数値は界面電気的方法と従来の電導度法とでかなりよく一致した. 自由エネルギーは-31.2〜32.6KJ・mol^<-1>,吸着エンタルピーは-55.3〜64.5KJmol^<-1>,吸着エントロピーは-78.3〜108.0KJmol^<-1>deg^<-1>となった. 一方,飽和吸着量は両方法で大きな差異が認められ,界面電気的方法で求めた値は電導度法の値の1/40〜1/50であった. この大きな差異のあらわれる原因について,ナイロン表面に吸着している界面活性剤イオンの配向と解離度の点から検討した. その結果,界面活性濃度が流す吸着イオンは固体表面に対して垂直に配向するようになり吸着層の厚さが増すること,濃度が高くなり吸着量が増すと対イオンが固定されて解離度が減少することの二つの因子でほぼ説明できることが明らかとなった(第26回油化学討論会・油化学研究発表会にて発表,1987年10月,名古屋大学). 今後は実験精度を高くするための装置の改良を行い,温度による脱離速度の変化を調べ,界面活性剤が固体表面から脱離するときの活性化エネルギーを求める予定である.
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Research Products
(1 results)