1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61480006
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
小野 勇一 九大, 理学部, 教授 (60037166)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江口 和洋 九州大学, 理学部, 助手 (60136421)
土肥 昭夫 九州大学, 理学部, 助手 (80091247)
村井 実 九州大学, 理学部, 助教授 (80117267)
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Keywords | 社会維持機構 / 生物経済学的手法 / 草食哺乳類 / 肉食哺乳類 / テレメトリー法 / 栄養分析 / 行動圏内資源利用 / 日周期活動 |
Research Abstract |
この研究は、哺乳類各種のもつ社会構造の比較のためにその共通の尺度として、社会構造が発展してきた基盤となっていると考えられる。生息地の各種の資源量とその利用様式と、生物経済学的手法をもちいて計測しようとするものである。 草食性哺乳類については、カモシカ,ニホンジカ,イノシシを対象として個体識別法およびテレメトリー法を駆使して、グループ構成とその変遷,個体ごとの行動圏の広さ,その重複度、さらに個体の日周期活動およびリズムを明らかにした。さらに行動圏内の餌資源の分布状況,栄養分析による質的な評価、すなわち餌植物の選択性と栄養価、その季節変化等から各種の行動圏内の資源利用様式を明らかにし、各種のもつ社会構造の評価を行った。 一方肉食性の哺乳類については、草食獣と同じ手法をもちいて、イリオモテヤマネコ,ツシマヤマネコ,ノネコ,チョウセンイタチ,ツシマテン等、を対象にその行動圏,日周期活動を明らかにした。肉食獣については、餌資源の評価は草食獣に比べると難しいが、行動圏内の資源利用としては、産仔のためや、休息の場としての巣が重要なものとなっていることが明らかとなった。そこで、母から仔への行動圏の継承過程、および雄と雌の行動圏のスペーシングアウトの有無から、社会構造の各種の比較が可能である。 今年度は、以上8種の哺乳類についての野外資料の蓄積はほぼ当初の目的を達成することが出来た。これらの資料は継続性が強い程確実なものとなるのでひきつづき資料の収集を進めたい。一方各種の資料の種ごとの解析もかなり進んでいるので、まず草食,肉食獣について社会構造とその維持機構の評価を行ない、さらには、哺乳類全体での社会維持機構の比較検討を進めて、生物経済学的評価による表記の課題の完成を来年度に行う予定である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] M.Izawa: J.Mamm.Soci.of Japan. 11. 27-34 (1986)
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[Publications] 土肥昭夫: 哺乳動物学雑誌. 11. 77-79 (1986)
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[Publications] 伊澤雅子: 遺伝. 40. 54-59 (1986)
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[Publications] 土肥昭夫: 長崎県生物学会誌. 31. 9-16 (1986)
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[Publications] 土肥昭夫: 長崎県生物学会誌. 31. 17-22 (1986)
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[Publications] 土肥昭夫: 哺乳類科学. 53. 39-42 (1986)