1986 Fiscal Year Annual Research Report
植物の細胞骨格を形成する蛋白とその調節因子についての研究
Project/Area Number |
61480012
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
水野 孝一 阪大, 理学部, 助手 (40110845)
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Keywords | 高等植物の細胞骨格 / 微小管 / アクチン / ベンズイミダゾイルカーバメート / 高等植物の新しい細胞骨格系 / カルモジュリン |
Research Abstract |
植物の細胞骨格を形成する蛋白とその調節因子の分離とその性質についての研究を行なっているが新しい事実がいくつか得られた。 1.1)植物の微小管の重合・脱重合を制御する因子として、【Ca^(2+)】存在下でのカルモジュリンが揚げられているが実際には単独では何の効果も見られず、他に蛋白性の因子が必要であることは、植物に特異的な新しい事実である。因子は熱に安定で、【Ca^(2+)】存在下でカルモジュリンと結合する。この因子の分離,精製にカルモジュリンカラムによるアフィニティークロマト法を開発した。2)タバコ培養細胞にはα-tubulinに対する抗体と特異的に反応する微量蛋白成分を分離した。この因子は【Ca^(2+)】の存在とは無関係に、in vitroでのタバコ微小管重合を抑え、いったん重合した微小管を細いフィラメントを経て脱重合させるようである。この因子は新しく開発したbenzimidazoyl-carbamate-Sepharoseアフィニティークロマトにより分離できるものであり今まで知られていない新しい制御機能を有する因子であると考えられる。2.微小管系の他にin vitroで重合するアクチンが分離された。これは高等植物からは初めてである。同時に2〜3のアクチン結合蛋白が見い出された。この成功により植物アクチンの性質や機能が分子レベルで明らかに出来るものと考えている。 3.微小管,アクチン系と普ぶ新らしい細胞骨格系が2種発見された。1つはATP又はGTPにより3〜4nmの細いフィラメントの束を形成する蛋白で分子量約68Kと80Kの2つの蛋白の複合体であり、他の1つはGTPにより太さ約10nmのフィラメントを形成する分子量約50Kの蛋白である。前者は【Ca^(2+)】により著しく影響を受ける。間接蛍光抗体法でこのフィラメントの細胞内分布を観察すると、核の位置を決定するかの様に1本の太いケーブルが核と細胞膜間を連結していた。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Koichi Mizuno: Cell BIOL.Int.Rep.(1987)
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[Publications] Koichi Mizuno: J.Biochem.(1987)
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[Publications] Koichi Mizuno: Protoplasma. (1987)
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[Publications] Koichi Mizuno: Protoplasma. (1987)
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[Publications] Koichi Mizuno: Nature. (1987)
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[Publications] Koichi Mizuno: Protoplasma. (1987)
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[Publications] 水野孝一: "蛋白質,核酸,酵素 植物の細胞生理学的研究法-植物細胞の構築と形成機構-" 共立出版, (1987)