1987 Fiscal Year Annual Research Report
ノンスパイキングニューロンを経由するパラレル回路の神経行動学的意義
Project/Area Number |
61480016
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
久田 光彦 北海道大学, 理学部, 教授 (70000768)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長尾 隆司 北海道大学, 実験生物センター, 助手 (70113595)
高畑 雅一 北海道大学, 理学部, 助手 (10111147)
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Keywords | 神経回路 / 並列情報処理 / ノンスパイキングニューロン / レーザ細胞破壊法 / ウィーナー解析 |
Research Abstract |
ザリガニの逃避行動のさいに見られる尾扇肢運動の神経回路をモデルにして神経系における並列情報処理回路の動作についての解析の継続した. 本年はレーザ光細胞破壊装置, および情報科学理論に基いた回路解析の両方を利用した研究に着手した. 1), まず被刺激側から神経節の反対側ノンスパイキングニューロン群に感覚情報を伝達する両側性スパイキング介在ニューロンの形態学的, 生理学的解析, 同定を行った. これはノンスパイキングニューロンを含む尾扇肢運動神経系の全容を把握するためである. 両側性スパイキング局在ニューロンはやはり複数個存在し, 刺激側の第一次感覚ニューロンから入力を得て, 神経節内反対側に分布する単側性ノンスパイキング局在ニューロンにその情報を分配する役割を果たす. この反対側ノンスパイキングニューロンは尾扇肢閉筋運動ニューロンと上記のスパイキングニューロンとの間に複雑な並列回路を形成している. この間の接続形態は基本的には2シナプス性の経路を形成し, その符号は可能なすべての組合わせ, すなわちa)興奮ー興奮接続, b)興奮ー抑制, c)抑制ー興奮そしてd)抑制ー抑制から成っている. 2), このような並列でしかも作用上相互に相反する接続を持っているにも拘らず, 尾扇肢運動が一義的に発現するのは何故か? この疑問に答えるのは本研究の最終的な課題である. このためには従来の単純な刺激対応答の個別的な解析では殆んど不可能であることが判明した. そこで新しい解析手段として, 全体の回路内から特定の回路要素, すなわち1ヶのニューロンまたはその部分を選択的に破壊, 除去するレーザ細胞破壊法を開発し, さらにその前後における回路の機能を評価比較する方法として, ニューロンへの白色雑音刺激とその出力のウィーナー理論による解析法を導入, 解析実験を行なった.
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[Publications] Kondoh,Y.;Hisada,M.: Journal of Comparative Nenrology. 254. 259-270 (1986)
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[Publications] Kondoh,Y.;Hisada,M.: Journal of Comparative Nenrology. 251. 334-348 (1986)
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[Publications] Kondoh,Y.;Hisada,M.: Cell and Tissue Research. 247. 17-24 (1987)
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[Publications] Kondoh,Y.;Sato,M.;Hisada,M.: Journal of Nenrology. 16. 39-54 (1987)
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[Publications] Nagayama,T;Hisada,M.: Journal of Comparative Nenrology. 257. 347-358 (1987)