1987 Fiscal Year Annual Research Report
昆虫血液中に新たに見出されたカスケード系ー昆虫の異物認識および生体防御機構研究のための探り針としての可能性ー
Project/Area Number |
61480017
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
芦田 正明 北海道大学, 低温科学研究所, 助教授 (50012422)
|
Keywords | フェノールオキシダーゼ / 昆虫血液 / β, 1ー3ーグルカン / ペプチドグルカン / 生体防御 |
Research Abstract |
昆虫血液にはバクテリアやカビなどの細胞壁成分であるペプチドグリカンやβー1, 3ーグルカン(以下エリシターと総称)に引金をひかれるカスケード系(propbenoloxidase actirating system, proーPO活性化系と略称)が存在する. この系がエリシターで活性化される機構, および関連する事項について研究した. まず, エリシターの内βー1, 3ーグルカンに親和性を持つ分子(βーGR)については昨年度精製法を確立したが, 本年度は精製されたβーGRの諸性質について調べた. βーGRは未変性条件下の次降平衡による分子量測定で6万1千変性条件下で6万2千を示した. アミノ酸分析においてアミノ糖は検出されなかった. これらの結果はβーGRが一本のポリペプチド鎖からなる単純タンパク質であることを示唆している. βーGRはβ, 1ー3ーグルカンと特異的に強固に結合することが示された. β, 1ー3ーグルカンと結合したβーGRは8Mウレアでは解離せず, 1%SDS, 1%βーメルカプトエタノール存在下100℃で始めてほぼ完全に解離した. β, 1ー3ーグルカンに結合したβーGRは市販のアシダーゼ活性を測定するための基質のいずれにも活性を示さなかった. βーGRがβー1ー3ーグルカンと結合した時どのような活性を持つのか,またタンパク化学的性質にどのような変化が生じるのかについての研究が現在進行中である. proーPO活性化系の端末に位置するproーPOの血液内分布を細胞免疫的手法と電子顕微鏡を使って明らかにした. 血球細胞の超薄切片をウサギ抗proーpo抗体で処理し, 次にヤギ抗ウサギIgGでコートされた金コロイドで染色した. この超薄切片を電顕で観察したところ, proーPOはエノシトイドとプラズマトサイトにのみ存在することが明らかになった. グラニュロサイトにPOが検出されたという結果が数多く報告されているが, この結果はグラニュロサイトのPOの採血後の血液操作中に人為的に生じたものであることを示している.
|
-
[Publications] Ashida;Yoshida: Insect Biochemistry. 18. 11-19 (1988)
-
[Publications] Ashida;Ochiai;Niki: Submitted to Tissue &Cell.
-
[Publications] Ochiai;Ashida: J.Biol.Chem.