1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61480018
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石川 統 東大, 教養部, 助教授 (70012482)
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Keywords | アブラムシ / 細胞内共生微生物 / ゲノムライブラリー / rDNA / シンビオニン |
Research Abstract |
本年度は細胞内共生微生物のリボソームRNAとの関係を調べる目的で、ホストであるアブラムシ自身のリボソームRNA遺伝子(rDNA)の構造を解析するとともに、共生微生物が細胞内で唯一合成するタンパク質、シンビオニンの分離・精製に着手した。以下にその結果を項目別に示す。 1.アブラムシ全ゲノムDNAをEcoRIで限定分解し、ショ糖密度勾配遠心によって平均20kbpの断片を得、これをファージベクターEMBL4へつなぐことによってゲノムライブラリーを作製した。先に得られていたカイコrDNA断片をプローブとしてプラークハイブリダイゼーションを行ない、このライブラリーより13KbpのアブラムシrDNA断片を検出した。これをさらにEcoRI-BamHIにより3kbpと10kbpの断片に切断し、前者をプラスミドベクターを用いてサブクローン化することにより、制限酵素地図を作製した。また、この3kbp断片をプローブとして用いることにより、アブラムシのrDNA単位には13kbpと7kbpのものが2:3の比率で存在し、それらのコピー数はハプロイドゲノム当り、合わせて約50と推定された。 2.上と同じ3kbpの断片をプローブとして共生微生物の全ゲノム断片をサザーンの方法で探ったところ、ほとんど全てのサイズクラスの断片にシグナルがみられた。この結果は共生微生物のゲノム中にはホストのrDNAまたはその一部と類似の配列が多数、分散して存在する可能性を示唆するもので、きわめて興味深い。この結果をさらに確かめる目的で、共生微生物のゲノムライブラリーを目下、鋭意作製中である。 3.アブラムシ全組織からタンパク質を抽出したところ、シンビオニンは硫安の40-50%飽和で沈でんする分画に存在することがわかった。この分画にシンビオニンは10%近かく含まれるので、今後イオン交換等による分離・精製の可能性が拓かれた。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] H.ISHIKAWA: Journal of Molecular Evolution. (1987)
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[Publications] H.FUJIWARA: Nueleic Aeids Research. 14. 6393-6401 (1986)
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[Publications] H.HUJIWARA: Nueleic Acids Research. 15. 1245-1258 (1987)
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[Publications] H.FUJIWARA: Comparative Biochemistry and Physiology.