1986 Fiscal Year Annual Research Report
形態形成における細胞接着分子の役割の発生工学的解析
Project/Area Number |
61480021
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
竹市 雅俊 京大, 理学部, 助教授 (00025454)
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Keywords | 形態形成 / 細胞接着分子 / カドヘリン / アクチン / 中間結合;cDNA |
Research Abstract |
【C(^+_2)】依存性細胞接着分子カドヘリンは複数の型(E,N,P型など)に別れ、それぞれが特異性を示し、細胞選別過程に必須の役割をもつ。本研究計画は、動物胚の形態形成におけるカドヘリンの役割を、遺伝子のクローニングおよびそれを用いた発生工学的解析によって明らかにすることを目的とし、本年度は以下の成果を得た。 1.それぞれの型のカドヘリンのcDNAクローニングに成功した。現在全塩基配列を決定する作業を行っている。 2.cDNAをプローブとして各型カドヘリンの遺伝子DNAのクローニングが進行中で、P型については遺伝子DNAの一部がすでに得られている。3.cDNAの塩基配列およびタンパク質のアミノ酸配列の分析からE型カドヘリンには多様性があることを明らかにした。 4.当初の計画には入ってはいなかったが、以下の実験を行うことにより重要な知見を得た。培養細胞におけるカドヘリンの分布とアクチン繊維の分布を、蛍光カドヘリン抗体と蛍光ファロイディンの二重染色により観察した。その結果、カドヘリンとアクチンの染色が完全に重なっていることがわかり、これらが構造的に関係があることが示唆された。このことを確かめるため、細胞をサイトカラシンDにより処理しアクチン繊維の分布を撹乱してみた。この処理の後も、カドヘリンとアクチンの分布は完全に一致しており、カドヘリンとアクチンは直接または間接的に結合しているらしいと結論した。またカドヘリンの分布は、細胞層の上部に位置しており、アクチンとの関係を考え合わせると、カドヘリンはいわゆる中間結合の成分ではないかと推論した。 以上のように、カドヘリンの形態形成における役割を発生工学的に探索するための基盤が整いつつある。
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[Publications] Johnson,M.H.: Journal Embryology and Expeimental Morphology. 93. 239-255 (1987)
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[Publications] Hatta,K.: Nature. 320. 447-449 (1986)
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[Publications] Nose,A.: Journal of Cell Biology. 103. 2649-2658 (1986)
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[Publications] Hatta,K.: Developmental Biology. 120. 215-227 (1987)
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[Publications] Duband,J-L: Journal of Cell Biology.
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[Publications] Takeichi,M.: Progress in Developmental Biology,Part B,ed.,H.C.Slavkin,Alan R.Liss,Inc.,NY.17-27 (1986)