1988 Fiscal Year Annual Research Report
頭足類(タコ)の心臓循環系の興奮伝導及びその神経制御機構
Project/Area Number |
61480023
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
桑沢 清明 東京都立大学, 理学部, 教授 (10015589)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢沢 徹 東京都立大学, 理学部, 助手 (30106603)
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Keywords | タコ / CARP / 5-HT / 免疫細胞化学 / 心臓循環系 / 脳 / 内臓神経節 / 軟体動物 |
Research Abstract |
タコ(Octopus hummelinki)心臓循環系の神経支配免疫組織化学を始めるに当たり系統進化的に材料を選択して神経支配に系統進化側面を調べることにした。電気生理学的、組織学的に最もよく知見が集積している腹足類後鰓類アメフラシ(Aprisia)でウミフクロウ(Pleurobranchaea)の中枢(脳、足内蔵神経節)と心臓循環系支配の末梢神経を材料に切片及び全体標本を作成した。これらでPARP(キャッチリラクシングペプチイド)の免疫反応を調べた。軟体動物のなかで最も原始的な双神経類ヒザラカイ(Liolophura)らにおいて、二対の神経幹内にクラスターとして存在する多数のセロトニン(5-HT)及びCARP免疫反応は細胞を検出した。神経幹から出る末梢神経はきわめて細く、この走行を解剖学的に追跡することは不可能であったが、心臓及び心のうの両部域で免疫陽性明瞭なプロセスの存在が認められた。アメフラシでは12・13個の右半球セロトニン作動性ニューロンクラスターを同定した。これとは別の大型セロトニン作動性細胞体表面に神経終末構造が収束していた。この構造は細胞体にもシナップス終末が存在することを示す。CARP免疫陽性細胞体が神経節内に存在することを発見した。かつ心臓内にもCARP陽性繊維を発見、CARPが心臓の調節機能を担う、いわゆる心臓ペプタイドも有ることを示した。この他、足神経部内でCARPニューロンを発見した。鰓神経節には存在しないが、鰓にもこのニューロンの支配を受けていることが分かり、ウミフクロウにおいてはこの内蔵神経節の大型ニューロンは動脈を支配するがこのニューロンがCARP作動性であることを同定した。このCARPは心臓循環系神経支配の重要な神経修飾物質であることが示唆された。タコにおいても心臓循環系にセロトニン及びCARP作動性神経が二重支配していることを発見した。しかしその中枢細胞体の同定は今後の研究として残される。
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[Publications] Kurokawa,M.;Kuwasawa,K.: Journal of Comparative Physiology A. 162. 533-541 (1988)
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[Publications] Kurokawa,M.;Kuwasawa,M.;Otokawa,M.: Zoological Science. 5. 1195 (1988)
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[Publications] Matsumura,S.;Kuwasawa,K.: Zoological Science. 5. 1215 (1988)
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[Publications] Kuwasawa,K.;Kurokawa,M.;Otokawa,C.;Kobayashi,H.: Journal of Neurobiology. (1989)