1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61480025
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
杉山 勉 遺伝研, その他, 教授 (40000260)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 裕 国立遺伝学研究所, 個体遺伝研究系, 助手 (60178986)
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Keywords | ヒドラ / 再生 / 頭部活性化能力 / 頭部抑制能力 |
Research Abstract |
ヒドラは強い再生力を持つ動物である。ヒドラの体幹から頭部を除去すると、5-6日後にはもとの頭部とほとんど区別できない程完全な新らしい頭部が再生する。このヒドラ頭部再生の制御機構には、頭部活性化能力と頭部抑制能力の拮抗的相互作用が重要な役割りを果していることが知られている。しかしその実体は不明である。 ヒドラ頭部再生の制御機構を解明することを目的として、突然変異系統reg-16の解析を行なった。この系統な一般的形態形成能力は正常であるが、頭部再生能力が特異的に低下した系統である。従来の研究により、正常野生型と比較するとreg-16の頭部活性化能力は低下しており、反対に抑制能力は強くなっていること、また両能力の相互作用の様式も野性型と異なっていることが明らかにされている。 本年度は、reg-16の頭部を切断除去した後に、切断面組織に再び傷をつけて刺激すると再生率が顕著に上昇すること、この刺激効果は刺激回数に応じて増大すること、しかし頭部切断後一定時期(24-72時間)に与える必要がある事を見出した。更に刺激に応じて頭部活性化能力は上昇するが、抑制能力は変化しないことが明らかとなった。 これらの新知見から以下の推論が可能である。正常野生系統の頭部を切断除去すると、活性化能力と抑制能力に多段階の連続的変化が生じ、その結果再生が実現する。ところが系統reg-16では変化段階のどこかがブロックされており、そのため再生不可能である。しかし傷口刺激によりこのブロックは除去あるいは迂回され、その結果再生が実現される。 このブロック段階を同定し、傷口刺激効果のメカニズムを明らかにすることにより、ヒドラ頭部再生機構の解明を今後進める計画である。また同様の解析を他の変異系統についても行う。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] N.Wanek;C.Nishimiya;J.Achermann;T.Sugiyama: Develop.Biol.115. 459-468 (1986)
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[Publications] C.Nishimiya;N.Wanek;T.Sugiyama: Develop.Biol.115. 469-478 (1986)
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[Publications] C.Nishimiya;T.Fujisawa;T.Sugiyama: Dev.Growth and Diff.28. 17-30 (1986)
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[Publications] E.Kobatake;T.Sugiyama: Develop.Biol.115. 249-255 (1986)
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[Publications] T.Fujisawa;C.Nishimiya;T.Sugiyama: Curent Topics in Devel.Biol.20. 281-290 (1986)
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[Publications] H.Shimizu;Y.Sawada: Develop.Biol.