1988 Fiscal Year Annual Research Report
植物病原糸状菌の生成する各種宿主特異的毒素の作用過程の比較
Project/Area Number |
61480047
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
児玉 基一朗 鳥取大学, 農学部, 助手 (00183343)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾谷 浩 鳥取大学, 農学部, 助教授 (50032305)
甲元 啓介 鳥取大学, 農学部, 教授 (80032093)
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Keywords | 宿主特異的毒素 / 細胞膜 / 葉緑体 |
Research Abstract |
宿主特異的毒素の作用と菌受容化との関係をみるために、毒素の作用過程を阻害する各種人為処理葉での毒素による菌の感染誘発効果を調べた。その結果、AK毒素では、毒素による細胞膜機能障害を阻害するSH基修飾剤処理により感染は著しく抑制されたが、膜機能障害後の致死過程を阻害する鉄および銅キレート剤処理では感染が誘発された。一方、AMおよびACR毒素の作用は、いずれも光照射大で抑制され、AM毒素では細胞膜機能障害後の致死過程が、ACR毒素ではミトコンドリア作用後の細胞膜機能障害が阻害されるが、AM毒素では光照射下でも感染が誘発されたのに対し、ACR毒素では感染誘発はみられなかった。これらの結果は、宿主特異的毒素による菌受容化の誘導には、毒素による宿主細胞膜の機能障害が重要であることを示している。一方、AM毒素作用に対する光の効果について検討した結果、毒素処理したリンゴ葉においては、光照射下および晴下のいずれの場合にも明下CO_2固定能が対照区と比較して低下した。さらに、電顕観察により光照射下および晴下ともにグラナの小胞化頻度は経時的に増大することが示された。これらの結果より、AM毒素による宿主細胞葉緑体機能の阻害は光と無関係に進行することが確認された。従来、作用点が不明であったAL毒素に関しては、本毒素の選択的毒性が培養細胞レベルにおいても発現されることがMTT比色定量法により確認された。また、こし立枯病菌の生成するセラトウルミンは、宿主細胞膜に作用を示し、本菌の病徴発現に関与していると考えられているが、本菌は胞子出芽時にセラトウルミン以外に、より低分子の感染誘発因子を生成していることが明らかとなった。本因子を非病原菌胞子と混合し、各種こし葉に接種すると、いずれのこし葉にも小病斑が出現し、非病原菌の感染を誘発していることが明らかとなった。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Akimitsu,K.: Plant Physiol.89. (1989)
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[Publications] Otani,H.: Plant PHysiol.(1989)
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[Publications] Tabira,H.: Ann.Phytopath.Soc.Japan. (1989)
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[Publications] Otani,H.: "Action sites for AK-toxin produced by Japanese pear pathotype of Alternaria alternata.In Host-specific toxins:Recognition and Specificity Factors in Plant Disease." Tottori Univ., (1989)
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[Publications] Kodama,M.: "A host-recognition factor from Botrytis affecting scallion.In Host-Specific Toxins:Recognition and Specificity Factors in Plant Disease." Tottori Univ., (1989)