1988 Fiscal Year Annual Research Report
家禽の人工受精法の改良に関する交尾器官の機能形態学的研究
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61480074
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西田 隆雄 東京大学, 農学部, 教授 (20023426)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 良博 東京大学, 農学部, 助教授 (90092303)
山田 純三 帯広畜産大学, 畜産学部, 助教授 (10003104)
唐木 英明 東京大学, 農学部, 教授 (60011912)
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Keywords | ニワトリ交尾器官 / 人工受精法の改良 / マッサージ法 / 精液採取 / 形質細胞 |
Research Abstract |
1.マッサージ法による精液の採取によって障害を受けた、雄鶏の交尾器官の組織学的構造の修復機構を透過型および走査型電顕法によって明らかにした。2回あるいは3回の連続採精を行った直後および1日、2日、3日後に精菅乳頭、射精窩、リンパヒダ、外側ファーラス体および正中ファーラス体を採取し、これら組織の修復過程を観察した。 採精後1日を経過すると、粘膜固有層の毛細血管の拡張と血球の充満する所見は消失するが、まだかなりの溢血部が残存する。この部分には血管の内外に、粗面小胞体の発達しはじめたBリンパ球が認められ、また形質細胞の有糸分裂像、二次水解小体および貧食した赤血球を含む大食細胞、肥満細胞などがみられ、修復機構の始動が確認される。 採精後2日あるいは3日を経過すると、溢血部は減少するが3日後にも消失することはない。粘膜固有層の疎性結合組織には、内膣の拡大した粗面小胞体をもつ大型形質細胞および内膣のせまい粗面小胞体が充満し、ゴルジ装置の発達した中型あるいは小型の形質細胞が認められる。3日経過後の表面上皮の表面構造を走査型電顕でみると、リンパヒダと精菅乳頭部の上皮細胞には、まだ微絨毛の修復していないものが認められる。以上の所見によって、採精後の組織修復機構には、局所免疫に関与する形質細胞系が重要な役割を果たしていることが明らかにされた。また交尾器官の組織学的修復の経過をみると、マッサージ法による連続採精はさけるべきで、連続採精後は少なくとも3日あるいは4日を経過した後に、次回採精を実施するのが、種鶏の供用時期の短縮化を防ぐために必要であると考えられる。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Karaki,H.;H.Nagase;T.Nishida: Japanese Journal Veterinary Science. 50. 797-802 (1988)
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[Publications] Ohasawa,K.;T.Nishida;M.Kurohmaru;Y.Hayashi: Okajimas Folia Anatomica Japonica. 66. (1989)
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[Publications] Kitamura,N.;J.Yamada;Y.Hayashi;T.Nishida: Anatomy and Embryology. (1989)
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[Publications] Nishida,T.;M.Kurohmaru;Y.Hayashi;N.Kitamura;J.Yamada: British Poultry Science. (1989)