1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61480081
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
内貴 正治 北海道大学, 獣医学部, 助教授 (10020752)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野 悦郎 北海道大学, 獣医学部, 助手 (00160903)
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Keywords | 病原性大腸菌 / 線毛抗原 / 下痢症 / コリネバクテリューム / 牛腎孟腎炎 / 遺伝子組換え / 糖脂質 / ガングリオシド |
Research Abstract |
初生牛および初生豚に下痢症を惹起する病原性大腸筋にK99抗原性を示す線毛を保有するものがある。この線毛は宿主細胞のガングリオシド、特にN-glycolylneuraminyl α2-3lactosyl-ceramideを特異的に認識し、付着することを昨年度明らかにした。本年度はこの物質が宿主である牛および豚の腸上皮にどの時期に発現されているかを調べた。仔豚及び牛の両方で、この物質はガングリオシドの主成分であったが、成熟動物では共に完全に消失していた。この消失は小腸上部、下部および回腸でもみられた。消失時期について入手し易い仔豚で検討した。出生後1日、2日、4日、7日目までは量的に現象がみられなかったが2週後の小腸では完全に消失し成熟豚と同じガングリオ組成を示した。この知見はK99大腸菌症が生後1週間以前の初生動物にしかみられない過去の知見と一致した。一方宿主細胞に付着する因子(アドヘシン)は線毛を構築する因子(フィンブリリン)と異なることが他の線毛で明らかにされたのでアドヘシンを分離する目的でK99線毛保有大腸菌株(B41)より遺伝子群を分離し、フィンブリリンの遺伝子を除去し、組換体を作出した。組換体はK99抗原性を完全に消失したが、新しい線毛が発現され、アドヘシンの濃縮発現が確認された。 牛の腎孟腎炎を惹起するCorynebacterium renaleについてもその線毛構築タンパク質を明らかにする目的で遺伝子の大腸菌への組換えを行った。その結果、48000の分子量をもつタンパク質が線毛タンパク質として同定され、1.4キロ塩基対のDNAにコードされていることがわかった。しかし組換えられた大腸菌には線毛が形態学的に検出されず、線毛の構築にはその他の遺伝子産物の関与が必要かも知れない。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Ono,E.: Infection and Immunity. 57(3). (1989)
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[Publications] Orino,K.: Infecton and Immunity.
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[Publications] Kubota,T.: Jpn.J.Vet.Sci.,. 50. 199-207 (1988)
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[Publications] Koga: Jpn.J.Vet.Sci.,. 50. 1277-1278 (1988)